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flumpoolと微熱。

全身の熱っぽさで、目が覚めた。
休日の午前9時。体がだるく、布団から出られない。枕元の引き出しから体温計を引っ張り出して、熱を測った。37度だった。

確か、微熱は一昨日引いたはずなのだが。
またぶり返してしまったようだ。

「はぁ、また微熱か……」

「……」(虚空を見つめる)

「微熱リフレインかぁ……」

“微熱リフレイン”とは、私の造語ではない。一時期病気のように聴いていたバンド、flumpoolの曲である。なかでも微熱リフレインは、耳にタコができるほど聴き込んだナンバーだ。

思いがけない形で ”微熱リフレイン” に行き着いた私の脳内に、イントロが流れ始めた。気だるい空気を打ち破るようなギターが頭に鳴り響く。ンギューーーイーーーイーーーーーーン‼︎

私は熱い頭を枕の上に置いて、しばらく音楽の流れるがままに任せておいた。そうしているうちに、flumpoolを聴いていた頃の想い出が蘇ってきた。なんだか、走馬灯みたいだなぁ…。

せっかくの休日だが、体がこの調子ではウカウカお出かけもできない。ここでいっそ暇つぶしに、浮かんだ走馬灯を追いかけながら、思い出深いflumpoolのナンバーについて、幾らか書き記しておこうと思う。

  1. 微熱リフレイン

ということで、本日ひょんなことから思い出した一曲目。

微熱でベッドの上に伸びている人のだるさを吹き飛ばしてしまうような、爽快なギターが印象的だ。

私はこの曲の未練の表現がとても好きだ。

恋愛における未練というと、どろどろとした胸の内を想起する。しかし、flumpoolの手にかかれば、そのような感情もピュアでキラキラした想い出へと変容する。戻らない過去の思い出に対して「見つめあう瞳はダイヤのよう」とこちらが恥ずかしくなるくらい、ロマンティックで真っ直ぐな言葉で表してしまう山村さん、あなたは強い。

山村さんの熱い歌詞に、爽快感のあるサウンドが涼しい風を曲に送り込む。両者のバランスこそが、flumpoolの魅力であるのかもしれない。

2. Hydrangea


一番よく聞いた曲かもしれない。
憧れの地を目指しながら自問自答を繰り返し、少しずつ前に進んでいくようすがマイマイ(カタツムリ)に託されて描かれる。flumpoolをよく聴いていた10代の自分には、随分と刺さったようだ。思えば、カタツムリのぐるぐると渦巻く殻の形状も、繰り返す悩みを象徴しているようだ。

冒頭にポロポロとギターで奏でられるイントロは、大地に降りそそぐ雨粒のよう。渇いた喉に水が染み渡るような恵みを感じさせる。

flumpoolは、ネガティブな感情に光を当てるのがうまい。それは決してギラギラした光ではなく、木漏れ日のようなやわらかい光である。ネガティブな感情をポジティブに、とでもいえば簡単なのだろうが、それだけでは拾えない、細やかなディテールがそこにはあると思う。

彼らはネガティブであることを否定しない。沈みきった感情と愚直に向き合い、さらけ出す。その生々しい言葉に情感を与えるのが、疾走感あるリズムや心地の良いメロディー、メンバーのほんわかした雰囲気であるのかもしれない。

3. ベガ 〜過去と未来の北極星〜

といいつつ、時にぐらぐらと憂鬱な曲を出してくるのもまたflumpool。通称、闇んプール。「夜は眠れるかい?」などは、かなりそちら側に振り切ったflumpoolがみえると思う。

flumpoolの曲は、主にギターの阪井さんが作曲を手がけている。しかし、この曲はベースの尼川元気さんが作曲を担当している。唸るベースが強く耳に残るサウンドになっている。

過去の記憶を何度も呼び起こしてはまた失望して、というやりきれないぐにょぐにょした想いが、うにょうにょしたベースラインと相乗効果を成して心に迫る。冬の闇夜に遠く光るベガ、というテーマもロマンティックなダークネスさを演出し、終わらない煩悶を迷宮入りさせる。

様々な表情をもつからこそ、幅広い表現が可能となり、曲にも多様な色が生まれる。闇堕ち曲もまた、flumpoolを魅力的に映すし出す一面といえるだろう。

4. reboot 〜あきらめない詩〜

これもよく聞いていた曲のひとつだ。最近はflumpoolから少し離れてしまっていたが、この曲だけは時々無性に聴きたくなり、棚からアルバムを引っ張り出す要因になっている。

とにかく、美しい曲だ。特に冒頭の歌詞に描かれる景色は、見事としか言いようがない。夜空に浮かぶ花火が、それを見る人間(自分たち)を極彩色に照らす。花火を見つめる人々の瞳に映る鮮やかな光がこちらにまで見えてくるようだ。その一瞬の儚さとそこに凝縮されたパワーにグッと心を掴まれ、曲の世界観に入り込んでいく。サビに向かうにつれて厚みを増すサウンドと、その疾走感に圧倒される。

この曲の主人公は、屈折した想いを抱えている。置かれた状況を俯瞰で見ることができない不甲斐ない自分、賞味期限切れの夢、迫る現実……。もがきつつも現状を突破できないもどかしさが歌詞の中に存在する。それを必死に打破しよう、自分自身を再起動(reboot)しようとする歌である。

感情を曝け出し、それに寄り添い、力強くエールを送る。とてもflumpoolらしい楽曲だと思う。

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……そろそろ書くのに疲れてきたので、今日はこの辺でひとまず文章を結ぶとしよう。

誰かにエールを送る曲、というのはこの世に多く存在する。そのなかでも、flumpoolの楽曲がいっとう輝いてみえたのは、悩みも闇も否定することなく、全て引き受けてくれる素直さと強さをもっている故だろう。その優しくも強い燈は、いまだ私の中で燦然と輝いている。その光に触れたくなった時、私はまた棚からアルバムを引っ張り出すのだろう。

おまけ 〜他の曲もいいんだよ〜

・夏Dive  
 冴えわたる眩しい風景の中に、ほろ苦さが見え隠れして最高に夏(語彙力)。ネイキッドなflumpoolらしい曲。ちなみに、彼らはジャケ写でも脱ぎがち。

・どんな未来にも愛はある
 AメロBメロの静けさからの力強い歌声が好き。

・Over the rain ひかりの橋
 ラジオの視聴者リクエストから知った曲。風景もメロディも、とても綺麗な曲。

・大切なものは君以外に見当たらなくて
 どストレートな語りかけにドキリとする。

・春風
 とても優しい曲。

・Because……I am
 いい曲。ベースとドラムが暴れてて好き。

・Music Surfer
 アップテンポなリズム感が心地よい曲。

・夏よ止めないで
 ザ・夏⭐︎なぶち上がるナンバー。この曲が収録された特典DVDでめちゃくちゃ笑った記憶。

・君に届け
 MVがあまりにも平成。あの頃に戻りたい皆さんに全力でお届けしたい。

↑ほら、あの頃だヨ。

以上

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