【疑問】なぜ円高にならないのか

なぜ円高にならないのか?

という文脈において円高になるはずだという前提があるように思う。
というのはアベノミクスが始まった2013年以降のドル円は長らく100-125円のレンジであったため、いまの149円という水準はあまりにも高すぎる(円が安すぎる)ように見えるからだろう。

しかし、よくよく追っていくと多くの誤解と思い込みがあるように思う。

よくドル円の値動きを日米金利差で説明されることが多い
実際、2022年3月に始まったFRBの利上げと日銀の緩和維持姿勢がドル円レートに直撃しているように見えるだろう。

しかし、である
ご存じの方も多いと思うがFRBの利上げはすでに昨年終了しており、利下げが予定されている。

そしてそれはすでにかなり米国債の利回りに織り込まれている。

ユーロドルやポンドドル、ドルスイスのレートを見れば一目瞭然だがドル高のピーク2022年の秋ごろでありその後はこれらの通貨に対してドル安が進んでいた。
が、最近またドル高方向に動いている。これにも理由がある。

ということは少なくとも2023年3月下旬~2023年11月中旬の円安は円特有の理由があるのではないか
と思うのが自然である。
そしてなぜか2年続けて7月と年末にドル円の急落が起きていて7月より12月の方が下落幅が大きい。

結局のところ金利差拡大という思惑による円安はかなり早い段階で終わっていた。
それは2022年11月以降のドル円の急落を見ればわかる。
2022年10月21日の高値151.94円から翌年の1月16日の安値127.23と実に24.7円下落している。途中、当局の介入や米CPIの下振れなどがあった。

もう少し掘り下げてみよう。
ドル円の月足のチャートをよくよく見ると円安は2021年の年初から始まっている。
2021年、2022年、2023年に共通していることは、年初が最もドル円の水準は低いがその水準は年を追うごとに着実に切りあがっている。
2024年はまだわからないが2月9日時点では過去3年と同様の値動きとなっている。

ここで興味深い話がある。
為替レートを動かしているのは誰なのかという話である。
FXには株と違い実需が存在する。
しかし投機筋と呼ばれる、要するに通貨の売買で儲けようとしている人たちが相場を動かしていると一般には考えられている。

しかしこの10年の間にヘッジファンドや投資銀行、保険・年金などの機関投資家といった従来のプレイヤーをはるかにしのぐ超大口が出現していた。

この超大口は短期間に急激な変動を引き起こし個人投資家をロスカットさせて儲けようとする手法をとっていない(ように見える)。
長期にわたってゆっくりしかし確実に相場を円安方向に動かしている。

ということである。

その正体については気が向いたら話そうと思う。

ともあれ円の価値が長期的に下落し続けるとなると多くを輸入に頼っている日本は物価の上昇が止まらなくなることが想定され、容易に解決できそうにない「円の価値の下落」に備えることは必要になるだろう。

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