肩甲骨のあるわたしたち

服を作りました。名は PommpleX といいます。

Pomme(林檎,禁断の果実)【仏】

Complex(日本語的な意味,心の中で抑圧された感情の複合体)

X(未知の物事,或いは私であり誰か)

=PommpleX

あの日 悪魔が囁いて 
知恵の実を 食べたから

私たちには賞味期限がつきました

ライチ、燕、乙女の生き血
膨張した 餌袋から 羽が生える
イチジクの葉の雨露が 落ちて湖面をゆらす時
24本の肋骨が軋む

私、喉に翅が生えたひとを しっている
『PommpleX』ZINE

林檎にどれだけ添加物を塗りたくってもいつかは腐るように私たちにも賞味期限は存在する。私たちが「女の子」の期間はその中でも特別儚く、綺麗で、時々グロい。

外見だけが人を判断する材料にはならないとは思う、でも人から判断される時「美しい・かわいい」ことは度々有利になる。「女・女の子」が世間から求められる「かわいい」のハードルは対照であるはずの「男性」が求められている「かっこいい」のハードルより遥かに高い気がしているし、事実多分そう。
かわいいは呪いであり呪いだし、(あえてのルビなし)私たちはかわいいに生きかわいいに殺されるのだ。

そんなふうに思いつづけた10代でした。

わたしは文章を書いたり絵を描いたり、創作することが人より好きなんだと思います、うまいかは別として、手先も器用だし。
服を作るにあたって、アイデアの源をふと振り返った時、ずーーーーーーーっと私は負の感情で何かを作っていることに気づきました。嫉妬とか、憎悪とか嫌悪とか、苦しいくらいの憧れとか。一方的で自分勝手な感情ばかりが私の中で煮凝りになっていて、それを切り崩すように創作をしていました。でも大学に入ってからいろんな人と出会って話して生きるって切ないこともあるけど、意外と簡単なことに気づいて、でもそれは楽になると共に私のアイデンティが少しづつ崩壊していくような気分でした。(←これは以前のnoteやtwitterでも言及しているような気もする)
それならいっそ早いとこぶっ壊して更地にしてしまおうと、これまで好きだったものを今できる私の精一杯で詰め込もうと、そういうふうに作った4体です。

まず初めに、私の好きなもの、シンメトリー。絶対的対称性。数字も、1より3より5より4が好きで、2より4が好きです。双子という概念は私にとってロマンだし。ツインテールが好きだし…
だから今回の服も、髪もパーツも、すべてが左右対称です。

【魔女】
袖や裾から除くフリルは、魔女鍋から除く怪しい薬のイメージ。金色に光る使い魔の蜘蛛はもちろん8本足。3人は魔法では無く、蜘蛛の糸で操られています。魔法なんてものはこの世に存在しなくて、魔法は科学だと思う。
魔女は私にとっての憧れで、私は魔法使いよりも魔女になりたい、性差以外になにもないような感じがするけど、魔女のほうがずっと怖くて綺麗だと思っています。
【アリス】
アリスといえば水色のワンピースのイメージが強いと思うけど、実は原作では黄色指定だった。という説があります。ピクニックのテーブルクロスをイメージしたギンガムチェック、エプロンは自分が食べたもので服を汚さないように。刺繍した血管は体内の可視化。
【天使と悪魔】
悪魔は元天使で、ひとはかつて天使であったとされています。だから私たちには肩甲骨がある。
普段考えていること、自分にとっては正しいかもしれません。でもそれは誰かにとっては悪、例えば身長や体重、パスタの素は何がいいかとか、サイゼリヤで小エビのサラダしか食べないとか。好き嫌いって人それぞれで1年経ったらミラノ風ドリアしか食べてないかもしれないし…(私はサイゼリヤが結構好きです。)
そういうふうに、天使にも悪魔にも揺れ動くイメージで、2人には同じ型紙を使用しています。スカートの後ろについた羽やアームカバーはキラキラ光っている、蜘蛛の糸のせいかな。
【メイク】
これに関しては、ぜひ動画を見てほしいです。
濃いメイクは私にとっての武装です。私、魔法はないって言ったけど、メイクはこの世で1番魔法に近いと思っているし、ああ女の子ってみんな魔女になる素質があるのではないかと思わせてくれます。

これを書いて服を作って、19年間の私が救われるような気がします。ミニスカートが履けなくても、パフスリーブが着れなくても、女の子は自分が女の子だと思っている限りとこしえにおんなのこです。私が私を肯定することで世界を救ったということにします。
(↑私の面白くて良いところは勝手に世界を恨んですぐに世界を救った気になるところだと思います。悩みの規模がおかしいくらいデカくていい。)
そんな可哀想でかわいい、私なりのダークファンタジーが、これを踏まえて少しでも伝わると嬉しいです。

おしまい

最後に、こんな“業”を素敵に着こなしてくださったりんごちゃんのみなさま、そして私の妄想を具現化してくださったヘアメイクさん、ありがとうございました♡

ほんとにおしまい

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