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漢民族

漢民族(創成期)

漢民族

生活様式の異なった人々(『東夷人』『北狄人』『西戎人』『南蛮人』)は、定期的に交易のために集まり、かれらの生活圏であった境の洛陽盆地やその周辺で互いに接触し漢字を媒介として融合し漢民族になった。

①創成期の漢民族は漢字を使用して都市に住み姓や氏をもった特権階級の人々である。
②百姓は族という呼称も姓や氏も無く、城壁の外で住み非識字者(中国語方言は互いに会話が出来ない程違う)で四夷と同じよそ者の扱いだった。
関連の語族とY染色体ハプログループ
シナ・チベット語族
O2a2b1(M134)』

四夷(しい)


①古代、洛陽盆地の東方に広がる黄河、淮河、長江の大デルタ地帯に住み、農業と漁業で生活を立て、河川と湖沼を舟をあやつって往来する人々を『夷』(い)といった。「夷」は「低」「底」と同じく「低地人」という意味で、東方の住人なので「東夷」ともいう。
百越系民族。

夏王朝
東南アジア系の文化をもった東夷で、内陸(呉・越)の水路をさかのぼってきて、河南省の黄河中流域に、伝説に残る最古の王権を建てた。

禹(う)
中国古代の伝説的な帝で、夏王朝の創始者。名は文命(ぶんめい)、諡号は禹、別称は大禹、夏禹、戎禹ともいい、姓は姒(じ)。姓・諱を合わせ姒文命(じぶんめい)ともいう。夏王朝創始後、氏を夏后とした。黄河の治水を成功させたという伝説上の人物である。禹は紹興で亡くなり会稽山に葬られたとされる。

関連の語族とY染色体ハプログループ
『タイ・カダイ語族
O1a (M119)』
特徴的なY染色体ハプログループ
「馬橋文化(上海)のY染色体ハプログループで高頻度で確認された
O1a(M119)
・中国南東部特有のY染色体ハプログループで少数が確認された。
O2b(F742)」

②古代、洛陽盆地の北方には、黄土高原東部の山西高原がモンゴル高原から南に突き出して黄河の北岸に接している。山西高原は、古くはカエデ、シナノキ、カバ、チョウセンマツ、カシ、クルミ、ニレ、などの森林におおわれ、陰山山脈や大興安嶺山脈の森林に連なっていた。この森林地帯に住む狩猟民は、毛皮や高麗人参を平原の農耕民にもたらし、農作物を手に入れる交易を行っていた。この狩猟民を『狄』(てき)と言った。「狄」は交易の「易」と同じ意味で、北方の住民なので「北狄」ともいう。

殷王朝
夏を征服して黄河流域に新しい王権を打ち立てたのが、北方の森林地帯から侵入した狩猟民(北狄)の殷人である。

天乙(てんいつ)又は湯王
古代中国の殷王朝の創始者。姓は子、名は履といわれ姓・諱を合わせ、子履(しり)ともいう。

関連の語族とY染色体ハプログループ
『アルタイ諸語
C2(M217)』
特徴的なY染色体ハプログループ
「遼河文明のY染色体ハプログループで高頻度で確認された
N(M231)」

③古代、洛陽盆地の西方の、甘粛省南部の草原に住んでいた遊牧民は、平原の農耕民のところへ羊毛をもってやって来た。かれらは『戎』(じゅう)といった。「戎」は「絨」と同じく羊毛という意味で、西方の住人なので「西戎」ともいう。
古羌系民族

周王朝
殷を征服したのは、西方の草原地帯から侵入した遊牧民(西戎)の周人であった。

武王(ぶおう)
周王朝の創始者。姓は姫・諱は発。
殷王朝を滅ぼし、周を立てた。文王の次男。

関連の語族とY染色体ハプログループ
『チベット・ビルマ語派
O2a2b1(M117)』
特徴的なY染色体ハプログループ
「チベット族系民族に高頻度で確認された。
D1a1(F6251/Z27276)
周王朝(古人骨)のYハプログループで高頻度で確認された
Q(M242)」
⭕️現代人が思い描く漢民族
周人とその同盟種族は黄河流域の諸都市を支配し、その城壁の中では、東夷系・北狄系・西戎系の人々が混じる。
「三代 
一般には、中国史で最も古い3つの王朝のことを指す。(夏・殷・周)」

④古代、洛陽盆地の南方の山岳地帯には、焼き畑を耕す農耕民が住んでいた。かれを『蛮』(ばん)といった。「蛮」はかれらの言葉で人という意味で、南方の住人なので「南蛮」ともいう。
荊蛮

漢王朝
楚の項羽は、劉邦を漢中盆地に封じた。劉邦が「漢」に居住した時期は短かったが、彼の勢力は「漢」と称した。
中国初の統一王朝は秦王朝だったが短命で滅びたこともあり、中国の統一状態を実質的に確定した王朝は直後の漢王朝とみなされることとなった。これから中国全土や中国の主要民族を指す名称として「漢」が用いられるようになった。

劉邦(りゅうほう)
前漢の創始者。姓は劉、名は邦。正式には廟号が太祖(たいそ)、諡号が高皇帝(こうこうてい)であるが、通常は高祖(こうそ)と呼ばれることが多い。

項羽(こうう)
秦末期の楚の武将。姓は項、名は籍、字が羽である。以下、一般に知られている項羽の名で記す。一時、西楚の覇王と号した。

関連の語族とY染色体ハプログループ
『ミャオ・ヤオ語族
O2a2a1a2(M7)』
特徴的なY染色体ハプログループ
「大渓文化)のY染色体ハプログループで高頻度で確認された
O2a2a1a2(M7)
ヤオ族及び巴哼人(巴天族/ベトナム)のY染色体ハプログループに少数確認された。
O2b(F742)」
⭕️長江中流域の湖北省には、焼き畑農耕民(南蛮)出身の楚人が王国を建て、長江、淮河流域を支配して、黄河流域の諸国と争った後、蛮夷の中で最後に漢民族『楚(南蛮系)・呉(東夷系)・越(東夷系)』の構成民族となる。

漢民族(隋王朝〜唐王朝まで) 北の遊牧民(アルタイ諸語)は漢字を習得し中華を支配した

①アルタイ系漢民族の誕生
②以前の漢民族も引き続き残る。

科挙制度の試験内容は漢字を完璧に使いこなせる役人(特権階級)を多数誕生させる為で漢字を採用した日本(平安時代、日本でも大学寮があった)・ベトナム・朝鮮も科挙制度を導入している。

⭕️科挙制度(1896年から毎年多数の留学生を日本に送り始め、帰国後は科挙出身者に代えて官吏に登用。1905年に科挙の試験を正式に廃止。)
童試の最終合格者には『生員』という称号が得られ最高学府に入学。不逮捕特権等の特権が与えられた。
科挙試験の最終合格者には『進士』という称号が得られ皇帝の側近となる高級官僚の仲間入りができた。
・日本は万葉仮名を導入した事で平安末期には、科挙制度が廃止されている。
・中国で近代化が遅れたのは表音文字が無かったので教育する為の土壌がなかった。日本の平仮名・片仮名の影響により1918年に表音文字のルビが生まれ近代化の土壌ができた。
・ベトナムはフランス式のローマ字を導入して漢字と科挙を廃止したが漢字を廃止したので自国の古文書が読めない弊害を指摘したい。
・朝鮮は世宗25年(1443年)に朝鮮語を表記するための訓民正音あったので国民の教育環境が最初からあったから、漢字と科挙を廃止しできた。しかし漢字を廃止したので自国の古文書が読めない弊害を指摘したい。

近代化が遅れた中国やベトナムは科挙制度が悪いのではない。表音文字が無く習得するのが難しい漢字のみでは国民の識字率が上がらず近代化が遅れたのだ。
日本や韓国の近代化が早かったのは、ひらがな・カタカナやハングル文字があったので教育環境の土壌あり識字率を上げるのに苦労しなくて済んだからだ。わ

漢民族(五代十国時以降)征服した王朝の言語が使用され漢字は第二言語扱いになる。
河北の漢民族と河南の漢民族が排除される。

華北地方

・満州系
・蒙古系
・トルコ系
・チベット系
・漢族(アルタイ系漢民族)
北魏が華北を統一以降は、西晋・東晋までに形成された漢民族が華南に避難。隋や唐の時代に科挙が制度され合格した遊牧民が新漢民族になり中国語の北方方言(今の標準語は北方方言)を話す事になる。
・支配外の百姓は族という呼称も姓や氏も無い。

河南地方

・蛮族(漢民族)
西晋・東晋までに形成された漢民族は河南に避難して南蛮人と混血し中国語の南方方言を話す。アルタイ系漢民族や満州族や蒙古族(北方遊牧民を先祖に持つ)からは蛮人扱いされる。
・支配外の百姓は族という呼称も姓や氏も無い。

🌟秦王朝〜清王朝時代が果たして行き届いた統一国家だったのか?
大部分が自給自足で現地支配は多様な民族がそれぞれしたと考察する。日本人は元より中国人も都市部の中華だけを文献で知ってはいるが、文献には記録無い農村部の多くは王朝と無縁で生活していたのだろう。現代人は面で支配したと勘違いしている。支配したのは点で多くは、族も持たない人々がいた無法地帯だったのが中華の実態だ。🌟宗族とは小さな国家であった。宗族以外は外国人。中国とは無数国家が共存した状態で近代に突入してしまったと考えた方が理解しやすいのだ。

漢民族(現代)

漢族

清朝の時代、人口の80%以上はどの族にも含まれていない農奴だった。支配者である満州族と被支配層の漢族のような族名は貴族と平民に降等された人々だけ持つことが許された呼称で、百姓は族という呼称を持つことができなかった。中華人民共和国が建国されて、近代化の政策が進み、苗字と族を持たなかった殆どの人口は苗字と漢族という民族名をもらうことになった。

少数民族

①ルーツのハッキリ証明された民族は政府に認められ優遇される。
公用語の中国語と自民族の言葉を民族学校で勉強する。
②人数が非常に少ない民族は非公認民族となり、習慣の似た公認民族に属するか、漢族に属することになる。

漢民族のY染色体ハプログループ

割合が0.1%以上の主要な26系統

C1b(F1370)0.14%
C2a(L1373)0.9%
C2b1(F2613)8.3%
C2b2(CTS4660)0.29%
D1a1a1a(N1)1.4%
D1a1a1b(F1070)0.5%
D1a1b(P47)0.2%
J1(L255)0.11%
J2(M172)0.31%
N1a(F1206)2.9%
N1b(F2930)3.8%
O1a(M119)11.3%
O1b1a1(PK4)6.4%
O1b1a2(Page59)3.3%
O1b2(P49)0.5%
O2a1a(F1876)2.6%
O2a1b(IMS-JST002611)15.0%
O2a2a(M188)4.8%
O2a2b1a1(M117)16.7%
O2a2b1a2(F114)12.1%
O2a2b2(F3223)3.1%
O2b(F742)1.3%
Q1a1a1(M120)2.4%
Q1a2(M346)0.14%
R1a1(M459)0.6%
R1b1(L278)0.22%


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