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個人図書館 4


 私の友達の木原康男は、とても迷惑そうでした。
 そりゃあそうです。
 彼とはまったく人種の違う文学少女(?)が、彼のアパートに押し寄せたのですから。


 私と橋本弥生さんと中川美奈子さんは、いつものようにドーナッツとシュークリームを手土産に、康男のアパートを訪れたのです。これが個人図書館読書倶楽部の作法なのです。
 私たちは康男の部屋にずらりと並んだ漫画の量に騒然となりました。

 「す、すごい」
 「まんだらけ」
 と、口々に感想を漏らす読書倶楽部のメンバー。

 「って、普通だけど」
 と康男は何が驚きなのかと言う態度です。

 「ああー、これ、菅田将暉でドラマ化されたやつ! 読んでみたかったんだー!」
 と「ミステリーと言う勿れ」を手に取る美奈子さん。

 「これ、最近完結したって話題だから気になっていたんだ」
 と「進撃の巨人」に興味を持つ私。

 「こういうのもあるんだあ」
 と「蛇にピアス」を手に取る弥生さん。

 それぞれに、それなりに、意外にも漫画にのめりこんでしまいました。

 黙々と漫画を読み始めるメンバー。
 唖然とする康男。

 漫画なんて読むことが無かった私たちにとって、それはそれは新鮮な体験だったのです。
 漫画も良いものだなあ、絵がついているし、なんて当たり前のことに関心しながら。

 帰り際、康男はこう言いました。
 「もう来ないでくれよ」

 「いや、絶対来る」
 と皆が答えました。


つづく。


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