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保護犬がうちに来るまでの話(3) 原点回帰

奈良は快晴だったのに、帰りの北陸道は雪混じりの雨。

もう4月だというのに、本当に不思議な天気だ。


はるばる奈良まで保護犬に会いに行った私たちだが、さすがに帰りはへとへとになった。

一匹一匹の保護犬と向き合った時間は短かったが、私たちもそれなりに緊張していたらしい。


話題は、娘が気に入ったハスキーミックスの老犬に。

犬の8歳は人間でいうとおじいちゃんに片足突っ込んだ年齢だよ、別の団体のところで子犬を見に行く選択肢もあるよ、などいろんな選択肢やメリットデメリットを子どもたちに伝えた。

娘はそれでもあのワンちゃんがいいと言うが、正直悩んでいる様子。
はじめて犬を飼うのだから、よくわからないのが当たり前だし、判断できないのも無理はないと思う。

たいていのことは「ま、なんとかなるか」で見切り発車する我が家だが、今回は全員が慎重になっていた。

私もどうすればいいかわからず、しばし考え込む。

しかし、ここで旦那が突如発言する。

「あのワンちゃんを見た時、最初は『8歳かー。子犬から飼うよりも長くいられないな』と思ったよ。でも散歩しながらこの子がこれまでどんな風に過ごしてたんだろうって考えてたら、残りの人生はうちで穏やかに迎えてほしいって180度考え方が変わったんだよね」

と言い出した。

「子犬や1〜2歳の成犬は、僕たちじゃなくても里親になりたいという人は出てくると思うんだよ。今日、あの場所であの子に会ったのは縁じゃないかな」

なぜ私たち家族は「保護犬を引き取る」と決めたんだっけ。あそこでいいワンちゃんがいないから次のところで探してみよう、というのならペットショップとさほど変わりがないのかもしれない。

彼の言葉をきっかけにふわふわ漂っていた家族4人の思いが原点に帰ったようだった。子どもたちも心が固まった様子。

私たちは再び、保護団体の方に連絡をとった。


#保護犬 #保護犬と暮らす

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