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#卒業生インタビュー#01原田悠輝さん#日産デザイン#2020卒

原田 悠輝(はらだ ゆうき)
日産自動車株式会社 グローバルデザイン本部勤務 エクステリアデザイナー

2019年 意匠展の副代表を務める
2020年 千葉大学卒業 
2020年 日産自動車株式会社に新卒入社


こんにちは!インタビュアーの劒持です。
今回は卒業生インタビューの第1回をお届けいたします。

今回インタビューするのは、
学部卒で新卒入社し、現在社会人2年目の原田 悠輝さんです。

学生時代には、新入生歓迎会の代表や意匠展の副代表をしていたそうです!
好きな車は「日産 キューブ」の2代目。

自動車が大好きで、フレッシュな原田さんに"潜り"ます!


このnoteでは、千葉大学デザインコースの専門分野である4本柱(プロダクトデザイン・コミュニケーションデザイン・環境デザイン・トランスポーテーションデザイン)の話が出てきます。それぞれの柱の詳細は下記のnoteでチェック!


☞目次
日々、日産デザインで鍛錬中…...
 -卒業後、現在はどのようなことをされていますか?
 -どうして日産デザインに入社したのですか?
 -また、入社して感じたことはありますか?
 -エクステリアデザイナーになった経緯はなんですか?
 -外装デザインと内装デザイン、それぞれの魅力ってなんですか?

”それっぽく”ではなくて、”ワンメッセージ”
 -自分のデザインで大切にしていることはなんですか?

・スケッチ特訓と田内先生
 -学生時代はどんな学生でしたか?
 -今でも印象に残っている授業はなんですか?
 -どんなお言葉だったのですか?

・後悔と教訓
 -卒研テーマとそれに至った経緯はなんですか?
 -学生時代の自分にアドバイス!


日々、日産デザインで鍛錬中......


──
卒業後、現在はどのようなことをされていますか?

日産自動車のグローバルデザイン本部に入社し、エクステリアデザイナーとして勤務しています。エクステリアデザインとは言葉の通り外装デザインのことで、その業務をメインに行っています。


でも外装の他にも、内装のお手伝いやアイデア出しに参加したりなど、幅広く仕事をさせてもらっています。社会人2年目なんてまだまだペーペーですよ(笑)。
また、「今日の夕方までに、このスケッチ描いてくれない?」という感じで、突発的に仕事を任せられることも多いです。なかなか大変ですが、好きなことを仕事にできているので、入社してとても満足しています。


──どうして日産デザインに入社したのですか?

最初から自動車会社にデザイナーとして就職しようと決めていました。たくさん選択肢がある中で日産自動車に決めたのは、環境面が自分にピッタリだなと感じたからです。インターンに参加した際に、実際に会社へお邪魔し、日産自動車に惹かれていきました。

クリエイティブな環境が整っていて、常にデザイナー同士が情報や進捗を共有でき、先輩方の考えや技術も日々学ぶことができます。

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▲日産自動車株式会社 グローバルデザイン本部

雑談①
デザインツールが時代と共に急速に変化しているのを凄く肌で感じています。
3Dソフトにしても次々と新しいものが出てきていたり、VRを使う機会などもあったりとデザイナーとしての「適応力」っていうのは大切だなと感じています。


──入社して感じたことはありますか?

入社してからは、いい意味でゆるい雰囲気があるなと感じていて、すごく良いなと思っています。

結果はともかく自由にやりながら良いものを出そうという風土が広がっていて、若手の発言にもすごく興味を持ってくれますね。会議でも「原田はこれどう思う?」とかよく振ってくれて、積極的に若手の発想を取り入れようとしてくれているのが伝わってきます。

このマインド的な所と、フィジカルな環境の両方がすごく自分にはマッチしているなと改めて思います。

あと、入社した当時、まだ発表されていない車が職場に並んでいて、未来を作っているんだ!って感じがして、すごく心が動いたのも覚えています。ドキドキしましたね。


──エクステリアデザイナーになった経緯はなんですか?

カーデザイナーを目指している学生のほとんどがそうだと思いますが、学生の時は、コンセプチュアルに車の外装をデザインすることが多くて、内装を考えることはほとんどしてなかったです。だから、入社前は外装デザイン一択!みたいな感じでした。

でも、会社に入社して分かったことは、昔と違って今は内外装両方をデザインできる人を育成しているということでした。入社1年間はプロダクトだけでなくカラーデザインやデジタル・クレイモデルも勉強して、そこで初めてちゃんと内装のことを学んでみて、内装の魅力に気がつきましたね。入社2年目に外装と内装のどちらかに振り分けられるのですが、その時には「どっちもやってみたい!」ってなってました(笑)。


結果的には、外装の部門に配属されてまずはエクステリアデザイナーとしてキャリアを積んでいくことになりました。


──外装デザインと内装デザイン、それぞれの魅力ってなんですか?

前置きとして、今いろんな分野が混じり合う時代になってきていて、自動車においてもUI/UXの重要性が叫ばれています。さらには外装と内装をより一体感を持ってデザインするようになってきていると感じます。
そのようなこともあり、若手のデザイナーは特に幅広いデザインを経験させてもらっています。

その中で、あえて外装と内装を分けて話すとしたら......

外装はやっぱりかっこいい。そこに尽きるのかなと思っています。
時代の流れとして、UI/UXデザインなどがきてるっていうのは否が応でもわかるのですが、やっぱり形があるものを作りたい。そういう思いが強くてプロダクトデザインを専攻し続けていました。
自分が考えて作ったものが、形になって動いて、それをお客様が買ってくれ喜んでくれるなんて、そんな最高なことはないじゃないですか。その最たるものが、外装なのかなと思っています。

一方で入社してから内装の奥深さに気づかされました。
カラーやマテリアル、UI/UXなどで複合的に成り立っていて、コンセプトに沿って車内に世界を作り上げていくのが魅力だと思います。
「お客様が”感じる”っていうことを凄く大切にしている」という先輩の言葉をすごく覚えています。内装の細部には、様々な工夫や思いやりがデザインに反映されていて、外装にはない1つの魅力だなと感じています。


"それっぽく"ではなくて、"ワンメッセージ"


──
自分のデザインで大切にしていることはなんですか?

できているかは置いといて......
自分のアイデアの意図を明確に一つ掲げることは意識しています。そうすることで、自分のデザインの意図を相手にシンプルに伝えることができると思っています。

今では、ネットの世界に良いものが溢れているし、見よう見まねでいくらでもそれっぽく、なんとなくかっこよくできてしまう。学生の作品でもかっこいいなと感じるものはたくさんありますし。それらとプロとしてデザインすることは区別しないといけないと感じていて、その1つがワンメッセージ(自分の意図)を入れ込むことだと思っています。

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▲学生時代の作品からの抜粋

それっぽくデザインするのではなくて、コンセプトを明確に掲げて、それを外装や内装にしっかり落とし込んでいくことが大切なんじゃないかなと。一言ですべてが説明できるとできないとでは、納得感に大きな差が出ると思っています。

雑談②
あとは、こういうのあったら良いよねって考えるのもデザイナーの仕事だと思っています。現実的に破綻してるかもしれないけど、こういうのしたい! っていう思いを"ピュア"に表現するのは大切なんじゃないかなと。たまに設計の方からは「これを実現するのは難しい」と言われることもありますが、そういうやりとりを避けるのではなく、どうしたら実現できるのかを考えるのが重要だと感じています。



スケッチ特訓と田内先生


──
学生時代はどんな学生でしたか?

特別優秀ではなかったけど、ある程度は真面目だった気がします。
特に自分が好きな分野の授業は、譲らず徹夜もしながら頑張っていました。というのも、当時は、全ての授業を頑張るのは難しいなと感じていて、頑張る授業を絞って取り組んでいました。今となっては、あまり良くなかったなと思っています......。

あとは、同級生のA君とひたすらカースケッチを描いていたのを覚えています。徹夜でスケッチの練習をしたり、授業中にも描いて怒られたりしたこともありました......。今思うと同級生の皆からしたら、変わり者だなと思われていたかもしれません。あの時はすみません......。

雑談③
2年次に初めて参加した、某自動車会社のワークショップで自分と周囲とのレベル差を身をもって実感し、焦りましたね。この焦りに背中を押され、がむしゃらにカースケッチの練習をしていたように思います。


──今でも印象に残っている授業はなんですか?

もちろん、専攻のトランスポーテーションの授業は今の自分の大きな支えとなってるのは確かで印象に残っているのですが、その他で言うと田内先生の「造形演習」の授業は今でも覚えています。3人グループを作って、"輪ゴム動力車"を製作するという授業でした。

20m進む輪ゴム動力車を作ることが目標で、例年だと成功率が半分程しかなく、今年こそは全チームが目標を達成することを、先生も含め全員が目指していました。結果的には、幸いにも全チームが目標をクリアできたのですが、その時の田内先生が珍しく大興奮していて、これですよ! って感じで熱く語っていた言葉が今でも忘れられないです。


──どんなお言葉だったのですか?

「千葉大は割と平均的な人が入学してきて、最初の実力はみんな同じだけど、与えられた課題を一つ一つクリアしていくのが大切なんだよ。着実にステップアップしていく人がいる一方で、徐々に慣れて手の抜き方もわかってきて、片手間に課題をこなすだけの人もいる。私はこういう人を何人も見てきた。4年経つと両者では大きな差ができるし、皆には後者のようになってほしくない。」

若干ニュアンスは違うかもしれないですが、こういった内容の言葉を話されていて、凄く心に突き刺さりました。今の仕事でもこの言葉を思い返して最後までやり切ろうと思えます。


後悔と教訓


──
卒研テーマとそれに至った経緯はなんですか?

モーターショー(*)という四輪車・二輪車の見本市があり、各社が考えているビジョンを発表するのですが、そこで登場するコンセプトカーにとても興味を持っていました。自分もこういうコンセプトカーを作りたいという思いで、卒研をスタートしました。

モーターショーで発表された過去のコンセプトカーの体系化をすると、未来の傾向がわかるのではないかという仮説のもと、テキストマイニングという手法で将来的に重要なキーワードを抽出して、そのキーワードからコンセプトカーの製作をしました。


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▲卒業研究・最終外装

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▲卒業研究・最終内装


──卒研を実際に終えてみて、感じたこと

一言でいうと、卒業研究は後悔しか残っていません。
最終成果物のコンセプトカーにあまり満足いってないんです。(上述の)「自分のデザインで大切にしていることはなんですか?」という質問で答えたと思うのですが、それでいうと中身のないデザインをしてしまったと思っています。それっぽい、かっこいい"ような"デザインをしてしまったなと反省しています。

あと、意匠展の副代表もやっていました。卒業研究の製作と意匠展の運営準備でキャパオーバーになってしまって、どっちつかずの状態でした。スケジュール管理が上手くいかず、卒研をしたいけど意匠展の準備もしなきゃみたいな状況が、ずっと続いていました。

今となっては、自分の限界を知れたいい機会だったなと思っていますが、やはり後悔は残っています。スケジュール管理は本当に大切だなと身をもって実感しました。いい教訓です。


──学生時代の自分にアドバイス!

「今の進路には満足しているのでそのまま頑張ってください。」とまずは言いたいです。

その上で、助言をするなら3つあります。

1、自分の興味のある分野が見つかるとどうしても視野が狭まってしまうことがあると思いますが、色々なチャンスが転がっている千葉大の良さをもっと生かして欲しいです。

2、当時はかっこいいもの感覚的に判断するだけで、なぜ良いと思ったのかを言語化できていなかったと思います。それを普段から言語化することが自分独自の感性につながるのかなと......。

3、あとは英語もやっていて損はないなと思います。今、職場でもっと英語が話せたらな〜って思う瞬間が多々あるので、「学生の内に勉強をしておくと、後々役に立つよ」って言ってあげたいです。

p.s学生は2ヶ月も夏休みあっていいな〜。


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本日は貴重なお時間いただきありがとうございました!

デザイナー問わず、何かを目指して取り組んでいる学生には、すごい刺激になる記事になったのではないかと思います。

特に私は、原田さんの「自分のアイデアの意図を明確に一つ掲げることは意識しています。」というお言葉がすごく胸に刺さりました。

今回のインタビュー企画はフルオンラインで進行してきたので、どこかでお会いしたいです。意匠展の当日など、ぜひいつか!



もっと深く潜りたい方はぜひ意匠展へ
日程:2022年3月18日〜20日
場所:千葉大学墨田キャンパス
デザインコース一同、皆様にお会いできることを心待ちにしています。

(インタビュー・編集:劒持 和貴)


次回は…?
千葉大学デザインコースの第2回卒業生インタビュー!
2004年卒でプロダクトデザイナーを経験、現在は企画職で活躍されている、坂巻匡彦さんに潜ります。
お楽しみに!😆


意匠展サイト
【HP】http://ishouten.com
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