見出し画像

食べ歩き Mangialonga@lamorra

2017年の8月にイタリアのlamorraという世界遺産の地域の食べ歩き祭りに行ってきた。8月から9月にかけて共同で開催した石積みのフィールドスクールが開催される前日に参加した。lamorraはワインの生産地として有名な地域で人口は3千人に満たないが、ワイン産業や関連産業が盛んで観光客が多い。lamorraはバローロというイタリアンワインを名乗ることができる数少ないワインだ。ちなみにEUでは、ワインは「保護原産地呼称ワイン(Denominazione di Origine Protetta: DOP)」、「保護地理表示ワイン(Indicazione Geofrafica Protetta: IGP)」、「ヴィーノ(Vino)」の3種類の分類を使用することと定められており、バローロは最も基準が厳しいDOPを名乗れるワインである。バローロの中でも細かいエリアとブドウの品種の組み合わせによって呼称できるワインが厳しく定義されている。

また近くにはスローフード発祥の地として有名なbraがある。スローフード協会が運営しているBoccondivinoというレストランでお昼ご飯を食べたが、とても美味しかった。調味料はほとんど使っておらずとてもあっさりしている。

ちなみにイタリア人の友人にきいたところ、こってりしたイタリア料理は偽物で、本来はあっさりしているとのこと。クアトロフォルマッジとか重すぎてイタリアのご飯じゃないと言っていた。

さて、Mangialongaはワインを飲みながら景色のよいところを歩くというだけのイベントである。参加費を払うとワイングラスを渡され、それを首から下げて、10kmほどぶらぶら歩く。4箇所あるポイントでワインとおつまみをとってほろ酔いでひたすら歩く。数十種類あるワインを選んで注いでもらうのだがどれも美味しくて酔わない(気がする)。
参加者はデンマークから毎年来ているという人もいたり、老夫婦もいたり、若者のパーティ集団もいたりするがリピーターが多いようだ。

なだらかな丘陵地を見ながら、ブドウ畑の中を歩く。ブドウはほとんどが現代的な縦のブドウ棚になっている。EUでは最近画一的で大規模な農地が環境の負担が大きいということで見た目は美しいけどどうなの?という流れになっているらしく、たぶんこういう風景の一部もその疑問の対象になっていると思う。その土地に合った多様な作物を育てることはとても大切だ。地質や気候の特徴でエリアを細かく分け、その場所にあったブドウを栽培するという考えならそれが可能だ。そうするためには、その農地で採れた商品を買う消費者にも判断が委ねられる。その栽培方法を応援する、その地域を応援するといった価値観に基づいて。

スローフードは、そういう消費の在り方や周辺地域で生活する社会的なつながりも大切にしましょうという意味も含んでいる。マクドナルドが地元産の野菜を使ったハンバーガーを出すこととは全く違う。そもそも大企業や資本主義のシステムには含まれないものだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?