小豆
_あんな服を着て歩く人の気が知れないよ
_どうして?
_全く男というものをわかっていない
_あらそう?
_あんなどぎつい色を着ている女がいいもんか
_じゃああそこのご婦人も?
_あぁ、だいたいいい年して綺麗な色を着ようなんてのが浅ましいのさ
_じゃあ何を着ろっていうの?
_小豆色でも着ていればいいのさ
_まあ、私小豆色好きだわ。早くいい年になりたい
_バカを言うな。年寄りになりたいやつなんているもんか
_あら私、早くおばあさんになりたいわよ
_どうして?
_私のおばあさん素敵だったもの。いい年しても好きな格好して厚化粧で
_それのどこが素敵なんだい?
_人のためにお洒落して人のために化粧するよりずっとかっこいいじゃない
_そうか?
_あなたの好きなもの当てて差し上げるわ
_なんだい?
_お子様ランチ
_どういう意味だ
_お前なんぞのために誰が小豆色を着るもんか。私は私のためにあの可愛らしい小豆色を着るのだから
_?
_お前はせいぜい自分の見た目にも気を使わずに、若い女たちがお前のために着ていると思い込んでいる淡くて甘い洋菓子のような服を愛でて醜く年を取るがいいさ。それがお前には似合いだよ
その間に淡くて甘い洋菓子たちが自分の価値に気付いてお前に目もくれなくなるだろう
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