【OSI-FACT】オシメルチニブのリアルワールドを学ぼう!

EGFR陽性非小細胞肺癌の1次治療として多くの肺癌診療に携わる先生方がオシメルチニブ(タグリッソ®)を選択されているのだと思います。その理由はいくつかあると推測していますが、一つはEGFR陽性非小細胞肺癌に対するオシメルチニブが第1世代EGFR-TKIと比較した『FLAURA試験』(NEJM 2018;378:113)[1]においてPFSで大きな差をつけたという頑強なデータがあるからと考えられます。

この試験ではメジャー変異と呼ばれるエクソン19のdeletions変異やエクソン21のL858R変異をもつEGFR陽性非小細胞肺癌を対象に、第3世代EGFR-TKIであるオシメルチニブと第1世代EGFR-TKIであるゲフィチニブ、エルロチニブの効果が比較検討されており、PFS中央値18.9カ月 vs 10.2カ月(HR 0.46)と大きな差をつけてオシメルチニブの良好な結果が示されました。

オシメルチニブが選ばれるもう一つ大きな理由として、『肺癌診療ガイドライン』[2]に掲載されている「推奨の強さ」だと思います。2021年度版のガイドラインでは、EGFR陽性非小細胞肺癌と判明した場合には、「オシメルチニブ単剤療法を行うよう推奨する(推奨の強さ:1、エビデンスの強さ:B、合意率:93%(推奨率:100%))」と記載されていることや推奨の一番トップに書かれていることが、オシメルチニブが幅広く選択されていることに一躍買っているものと考えます。

このような大規模臨床試験やランダム化比較試験(RCT)は、エビデンスレベルも高く、集められたデータとしてはとても信頼度が高いものとして評価されます。もちろん実臨床においてもこのようなRCTを参考に実際の肺癌患者さんの治療に活用します。しかしながら、RCTは臨床試験に組み入れる適合基準が厳しく、対象患者が非常に限定的であることには注意が必要です。

そこで最近注目されているのが「リアルワールドエビデンス(RWE)」です。RWEではRCTに基づいて築きあげられた標準治療をもとに、実臨床での多様な患者群を対象にした治療効果や安全性が含まれます。RCTやその他の前向きデータを補完する意味合いが強いのがRWEですが、RWEも多様な患者群が含まれるためバイアスがかかりやすいので注意が必要です。

先日、EGFR陽性非小細胞肺癌に対する1次治療としてのオシメルチニブのRWEである『OSI-FACT試験』(Eur J Cancer 2021;159:144)[3]の結果が報告されましたので紹介致します。本研究は本邦において2018年8月~2019年12月までに1次治療においてタグリッソで治療を開始した538例の後ろ向き研究になります。主要評価項目はPFS、副次評価項目にはOS、奏効率、安全性や後治療の詳細などが含まれます。年齢の中央値は71歳、男性が34.4%、del19やL858R変異が94.5%含まれますが、『FLAURA試験』では除外されていたようなuncommon mutations(マイナー変異)も5.5%含まれます。またPS2以上の状態が悪い症例も16.2%含まれており、このあたりがRWEとして重要なデータと捉えることができます。

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