ED治療に用いるPDE5阻害薬、それぞれの特徴や注意点について

ED治療に用いるPDE5阻害薬、それぞれの特徴や注意点について

EDの薬と言えばバイアグラ、一般の方もご存じの薬なのではないでしょうか。性生活を充実させるツールとして、1998年に発売されたPDE5阻害薬であるシルデナフィル(商品名:バイアグラ)はED治療を大きく変えました。その後、タダラフィル(商品名:シアリス)、バルデナフィル(レビトラ)が発売され、ジェネリックも含めて利用が可能です。それぞれの製品の特長と、PDE5阻害薬の注意点について解説します。

勃起の仕組みとPDE5阻害薬

EDは加齢とともに有病率が増加。加齢や生活習慣、心理的背景などに関する問題が存在し、かつ複雑であるため、治療が困難な疾患です。陰茎の勃起は、性的刺激によって海綿体が弛緩することによって起こります。そして海綿体の弛緩には、一酸化窒素(NO)とそのセカンドメッセンジャーであるcGMPが重要です。

性的な刺激が伝わると、海綿体にあるNO活性化神経によってNOが産生され、NOは海綿体の平滑筋細胞に入り、グアニル酸シクラーゼを活性化。グアニル酸シクラーゼが活性化されると、cGMP依存性プロテインキナーゼ(PKG)を介して海綿体の平滑筋が弛緩し、海綿体に大量の血液が流入することで勃起が起こります。海綿体への血流が増加すると、内皮細胞はNOを持続的に産生するため、勃起が維持可能です。

海綿体におけるcGMP分解酵素であるPDE5の活性を選択的に阻害することで勃起不全を改善させる薬が、バイアグラを中心とするPDE5阻害薬です。

PDE5阻害薬の種類 

現在日本で利用可能なPDE5阻害薬はシルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィルの3種類です。いずれの薬もジェネリック製剤が登場しました[1][2][3]。共通することとして、硝酸薬の併用は禁忌です。細胞からNOを発生させる硝酸薬は、PDE5阻害薬の使用下で全身の血管を拡張させ、著しい血圧低下をもたらします。糖尿病や心血管疾患、高血圧といった病気の有無や常用している薬は必ず確認しましょう。また、日常的な運動の強度や頻度を確認し、必要に応じて負荷心電図などでどの程度の運動に耐えられるかを把握してください。

シルデナフィルはフィルム剤があり、レビトラは即効性があることから、今日は頑張ろう!という時に活躍する場面が多そうです。タダラフィルは持続時間が長いことから週末頑張ろう!といった場面での内服に適しています。内服する方の生活習慣にあわせて処方しましょう。

特徴・注意点は一部にすぎません。PDE5阻害薬は不整脈を誘起する可能性があるほか、降圧薬との併用など心血管系リスクのある方への投与は評価を含めて慎重におこなわなければなりません。効果を増強・減弱させる薬も多いため、注意しましょう。

PDE5阻害薬に特徴的な注意点

PDE5阻害薬の注意点はいくつも存在しますが、以下の3つはあまり知られていません。

  • 非動脈炎性前部虚血性視神経症

  • 持続勃起症

  • 偽造薬の存在

非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)

非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)は、突然の無痛性視野欠損を特徴とする原因不明の視神経障害です。薬剤との因果関係は明らかではありませんが、海外ではPDE5阻害剤投与中にNAIONの発現が報告されています[4]。

45歳以上の男性でNAIONを発症した方を対象に実施した自己対照試験では、PDE5阻害剤投与半減期(t1/2)の5倍の期間で、NAIONの発症リスクは約2倍と報告されました。

NAIONの危険因子としては、以下のようなものです。

  • 年齢(50歳以上)

  • 糖尿病

  • 高血圧

  • 冠動脈疾患

  • 高脂血症

  • 喫煙

NAIONを予防する有効な方法はないため、注意が必要です。

====================================
この記事の続きはアプリから無料でご覧いただけます。
よろしければご活用ください。
▼iosの方はこちら
https://apple.co/3setYVt
▼androidの方はこちら
https://bit.ly/3nso2Gv
また、引き続きnoteでもご閲覧可能です(有料)。
====================================

ここから先は

945字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?