見出し画像

[読書ログ]「光の星」浜田廣介

「光の星」
作:浜田廣介
絵:メリンダ・パイノ

https://www.ehonnavi.net/ehon/26573/%E5%85%89%E3%81%AE%E6%98%9F/

※ネタバレあり

天の川のほとりで、同じ月同じ日同じじぶんに生まれた3つの星。1つ目はルビーのように赤い星、2つ目はサファイヤのように青い星、3つ目は小さくて色もない弱い光だったが、3つ目の星が泥だらけのかささぎを天の川の水で汚れを落として助けると、金色の星になった話。

あらすじだけ書くと何ということはない話に感じるかもしれないが、作者の語り口調、表現のやさしさが滲んで美しく感じられる。

「空に見あたるはずがありません。そのひかる星――それがじぶんでありました。金色のみごとな星の光こそ、三つめの星の光でありました。そうして、それはかおやすがたの光ではなく、やさしいこころのとうとい光でありました。」

文章の美しさ、やさしさ、これが”ひろすけ童話”と呼ばれるものなんだと味わった。
この話の光の強さは関係ない。3つ目の星が緑でも黄色でもなく、”金色”だったことに意味があって、それはこころの内側からもたらされた光であり、強主張する必要はないのだと思うし、例えば夜空を見上げて、小さな弱い光の星があったとして、それも金色に光っていると感じれば、それが3つ目の星であり、やさしくない、取り柄がない証明にはならないだろう。

この話の特徴はやはり最後の一文にあると思う。
「日のくれがたに空を見あげてごらんなさい。たくさんな星のあいだに、その星も、きっとひかっていましょうから。」

読み手の日常に落とし込む一文。そういえば、「ライオンの考え事」という絵本も同じ手法だった。星を見上げるときに思い出す本、何かをする時にふと思い出す本、そういう寄り添い方の本だった。

絵柄に賛否両論のようだが、確かに先日読んだ宮沢賢治の「やまなし」のような絵柄があっているように感じたが、それはまた大人の見方なのかもしれない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?