[読書ログ]「チャーリー、こっちだよ」
作: キャレン・レヴィス
絵: チャールズ・サントソ
訳: いわじょう よしひと
出版社: BL出版
あらすじ
感想
タイトルと表紙絵の可愛らしさに魅かれて。
実話をもとにしたお話ということで、巻末の作者あとがきの一部を載せる。
実話からの感動ものとして押し出されているのではなく、キャラクターそれぞれが確かに生きている感じがした。
言い方は悪いが、よくあるお涙頂戴型ではなく、きちんとした物語として昇華されているのが、とてもよかった。
ジャックが牧場にきた背景は濁されている。
絵で見ると、ジャックの片方の角が欠けているので、小屋の中でいじめられたような過去があるのだろうと推測できる。
こころに傷を負ったジャックは、傷を抱えながら牧場で暮らしている。
ジャックは急に近寄られるのが嫌なので、目が見えず危なっかしいチャーリーを用心深く見ている。
そうしていくうちに、チャーリーには暗闇で迷いそうなときに道案内してくれる月のように、なにか頼れるものがあるのだろうか、と考える。
そこから、チャーリーを「こっちだよ」と言ってあちこちへ案内していると、ある日ジャックがついひどいことを言ってしまって……というお話。
動物を擬人化するのはむずかしい。
実話をもとにしていれば、なおのことだ。
ジャックの癖の強い性格が、物語に個性を生み出しているように思う。
ジャックも、チャーリーもおっとりしたり、やさしかったり、落ち込んだ性格だったら、よくある物語だけど、ジャックがジャックだったから、よかった。
絵の雰囲気がとてもよくて、額に入れて飾りたいくらい。
動物の絵が何とも言えずキュートで、やさしいタッチ。
タイトルのセンスもいい。
小さい頃ってなんでも「こっちだよ」とか「こっち来て」とか、呼びたくなる。友達を連れていって、なかよくなって、というイメージも湧きやすいいいタイトル。
実話をもとにしていることからも、いろいろ深堀できそうな絵本。
小学校は低学年から、大人まで楽しめる作品。
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