[読書ログ]「ゆうかんなアイリーン」ウィリアム・スタイグ
「ゆうかんなアイリーン」
作:ウィリアム・スタイグ
訳:おがわえつこ
※ネタバレあり。
少女アイリーンの母親が、おやしきの奥様のためにドレスをつくったが、風邪をひいてしまい、届けられなくなってしまったところ、アイリーンが代わりに雪と猛吹雪の中、重たい洋服箱を持って配達に行く話。
途中吹雪や、足をくじいたり、ドレスが風に飛ばされたりしても、何度もめげずにドレスを届けようとする姿がいい。そしてなんとなく先が読める流れであっても飽きさせない文章。
今の世の中だと、なぜそんな危険な状況でアイリーンを向かわせるのか、母親が糾弾されてしまうかもしれないが、それもこれも「信頼」なんだろう。
そして、おそらくこの最後の一文のために、このお話を書いたいのではと推測した。
創作側の立場に立つと、雪や風が強いのを出発前に知っている描写を入れずに、出発後にトラブル的に使うこともできたなと感じたが、事前に困難だと解っている中で迷いもせずに”勇敢”に立ち向かうアイリーンの姿が読む側をわくわくさせるのだろう。
タイトルの分かりやすさ、ストーリーのシンプルさ、文字にしないところでの信頼や絆の見せ方、優しいイラスト。
それらの終始広がる安心感のおかげで、ついスタイグの別の本も読みたくなる。
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