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折本龍則「日米友好の敵、ラーム・エマニュエル大使を追放せよ!」(『維新と興亜』令和5年9月号)

 去る令和5年7月4日、米国大使館前に赴き、先に国会で可決成立したLGBT理解増進法案に関し、ラーム・エマニュエル駐日米国大使が我が国政府に対して行った露骨な内政干渉に抗議する街宣を敢行しました。この度の抗議活動の趣旨と抗議文の案文は本誌前号(令和5年7月号)の時論でも掲げたのでご一読下されば幸いです。
 抗議文については、抗議に出かける直前まで賛同者を募った結果、福島伸享衆議院議員や田沼隆志千葉県議会議員を始め、国会議員、県議、区議、市議計12名、文化人、言論人を合わせ総勢32名の方々に賛同して頂きました。なかでも、山岡鉄秀先生におかれましては、筆者はまだ一度もお目にかかったことがなかったにも関わらず、不躾な賛同のお願いを快諾して下さり、街宣の直前夜を徹して英文の抗議文を起草して下さいました。和英の抗議文と賛同者一覧は本号の現場ルポ(48頁)に掲載しましたので、あわせてご覧ください。また当日は、小坂英二荒川区議に駆けつけて頂いた他、多くの皆様にご参加頂きました。ここに衷心より御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
 さて、街宣当日は行動を起こす前に乃木神社に参拝し成功を祈願しました。その後、厳重な警戒を避けて大使館ではなく大使公邸の裏手から回り込み、公邸の正門前で皮切りの街宣を行いました。というのも、7月4日は米国の祝日なので大使は大使館にはおらず、公邸で賓客などを招いてレセプションを開いているに違いないと踏んだからです。公邸前で街宣をしながら、ゆっくりと街宣車で公邸とホテル・オークラの間を通る霊南坂を下り、大使館正門前をじらすように通って集合場所である共同通信会館前に到着しました。すでに現場には数十名の同志諸兄が待っておりました。ところが、警察はなかなか我々を大使館に近づけようとしない。むしろ前線を後退させて隣の住友不動産虎ノ門タワーの方まで押しやろうとしました。これでは大使館に声が届かないということで、警察隊とのもみ合いになる一幕もありましたが一人の逮捕者も出さずに終えることが出来ました。そもそも大使館前とはいえ、日本の公道で道路使用許可まで取って平和的な政治活動をするのになぜ警察に排除されねばならないのか。ここは日本の領土ではないのか、日本の警察はアメリカの番犬なのかと強い憤りを感じました。
 参加者による街宣を一通り終えた後、筆者が代表して大使館に赴き、抗議文を入れた封筒を渡そうとしました。当初は、大使に面会して抗議文を手交しようと思い大使館に電話したのですが、交換手が有無を言わせず音声ガイダンスに切り替え郵便物の宛先を告げられたので、仕方なく7月4日大使館に赴き抗議文を持参する旨予告する手紙を特定記録郵便で郵送し受領済になっておりました。つまり大使館は筆者が来ることは当然把握していたはずです。ところが当日大使館の受付に行くと、ガラス扉の中にいた警備員は大使館員と電話で何やらやり取りしている様子でしたが、何度インターホンを押しても首を振って扉の外には出てきませんでした。そこで今度は再び公邸まで行って抗議文を渡そうとしましたが、さんざん待たされた挙句、結局受け取ってもらうことは出来ませでした。かくして我々が抗議文に託した思いは完全に拒絶されたのでした。
 筆者は一介の地方議員に過ぎませんが、今回の抗議行動には先述したように議員や言論人等多くの賛同者が名を連ね、しかもその背後にはさらに多くの日本国民が控えています。特に今回のエマニュエル大使の内政干渉には多くの国民が憤慨し抗議していることは大使も十分承知のはずです。ところが、そのようなわが国民の声を完全に無視する大使の態度は、これが民主主義の国の大使のやることかと強い怒りを禁じえません。LGBT法案が通過した後、エマニュエル大使は「日本は進化の過程にある」と驚くべき発言をしましたが、まさに大使にとって我が国は、大使によって啓蒙される未開の野蛮国なのでしょう。そのような野蛮国の民の声など一聞の価値もないということでしょうか。
 抗議文は後日特定記録郵便で大使館に郵送し受領されました。また、今回の抗議行動については、twitterやYouTubeをはじめとする主要SNSで拡散し大きな反響があったほか、新聞や雑誌、海外メディアなど24社に対してプレス・リリースを行いました。街宣現場には中東系メディアの記者も来られ取材を受けました。
 重要なことは、今回の行動を一過性のもので終わらせてはならないということであり、一人でも多くの日本国民にエマニュエル大使の暴挙を周知して我々の行動に対する賛同の輪を広げていかねばならないということです。今回の抗議文は「対等な日米関係を求める国民有志の会」として提出しました。それは左右のイデオロギーや党派を超えて国民が団結せねばならないと思ったからです。今回のエマニュエル大使の内政干渉に対して岸田政権がやすやすと屈服したことは、右とか左とか言う以前に、我が国に本当の主権はなく民主主義が機能していないという現実を明らかにしました。だからいまは国民が内輪もめしている場合ではなく、アメリカから主権を取り戻すために国民が一致団結するのが先決です。明治のころ、我々の先人たちが不平等条約を改正できたのは、国民が右(国粋派)も左(民権派)も関係なく大同団結して欧米の内政干渉を排除し国家の独立を優先できたからです。民権派の急先鋒であった大井憲太郎が結成した有志連合の「大同協和会」には、頭山満や佐々友房、植木枝盛、河野広中などの多くの人士が結集し条約改正運動を強力に推し進めました。我々は、こうした歴史の教訓に学ばねばなりません。
 同時に、これは抗議文でも書きましたが、我々は良識あるアメリカ国民に対しても連帯を呼び掛けています。LGBT法の根底にある思想は、世界の国や民族における伝統や文化の多様性を否定し、自己決定の近代イデオロギーを世界に押し付けようとするグローバル全体主義です。この偏ったイデオロギーは、民主党政権に巣食うネオコンを首謀者として世界中で侵略と内政干渉を繰り返し、ウクライナ戦争を含む紛争の火種をまき散らしているだけでなく、アメリカ自身の伝統文化をも破壊し、国家社会を深刻な分断と衝突で引き裂いているのです。これに対する巻き返し運動が、トランプ現象でもあるのでしょう。最近ではブッシュ政権でネオコンの首魁とされたディック・チェイニー元副大統領の娘であるリズ・チェイニー下院議員が中間選挙で落選するなど、共和党内のネオコンも一掃されつつあると聞いています。
 したがって、我々はこの思いあがったネオコンの近代グローバリズムに反発する米国民と連帯し、主権と文化の相互尊重に基づいた友好関係を築かねばなりません。なぜならば、国家間の真の友好関係は、「同盟」の名を借りて正当化される支配と従属の関係ではなく、対等で独立した主権の上に互いの伝統文化を尊重し合うことによって初めて成り立つからです。その意味で、我が国に対して植民地総督のような態度で振る舞い、自分たちの信奉するイデオロギーを、未開人を啓蒙するかのように駐在国に押し付けるエマニュエル大使は「日米友好の敵」に他なりません。ちょうど来年はアメリカ大統領選挙の年でもあるので、これから我々はアメリカ世論に対してもエマニュエルの非道を訴え、大使が晴れて更迭され「ゴー・ホーム」するその日まで戦いを続ける所存です。

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