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クールをきどる

10年以上は経っただろうか。
最後の時は、もういつだったか覚えていないけれど。

大学時代の真夏のバイト、社会人になってからも真冬の取材、
20代、パチンコでこっぴどく負けたときもだ。

いつも一緒だった。

頼りにさえしていた相棒と言える存在。


再会は突然。夜のコンビニだった。
雰囲気が変わっていた。なぜ今まで気づかなかったのだろう。



580円?

300円だったはずだろう?

クールライトBOXよ。580円??



はい、ごめんなさい。

タバコの話です。


止めろと言われると、続けたくたる性分の自分。
禁煙するとは思っていなかったけれど、今は全く吸っていないし、吸いたいとも思わなくなった。


取材する際にタバコはとても便利なアイテムだった。


なぜか仲良くなる喫煙所という魔法の空間。


「どれ秋山記者、一服に行ぐが?」


シンプルなひと言だけれど、
記者になりたての頃は、何だか大人としても認めてもらえたようで
嬉しかったことを覚えている。

気になったこと、わからなかったことを質問する時間だったし、自分にとっては知らない業界のことを勉強できる時間。相手が2本目を点ければ、自分も。それで足りなければ、「どれ、今日は飲みに行くか」となる。


アルハラ、スメハラ、セクハラ、ハラハラ笑、の今の時代だと、ありえないことなのかもしれないけれど、自分にとっては何かの階段を上っていくようで、楽しかった。

あの時の気持ちが、クールライトBOXとの思わぬ再会でよみがえる。

一本を点けることはもうしないけれど、心の中でパチパチと何かが燃え上がる気がした春の終わり。

黄金連休、何それの稼業の方々。何かを気取って頑張りましょう!!



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