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映画『心と体と』は、感触が伝わってくるような映像の美しさが気持ちいい。サンリス6作品見放題パックを見よう!

新型コロナウイルス感染拡大によるステイホーム期間に始まったUplink CLOUDの60本見放題パック。3ヶ月で60本という過酷なもので、私も結局見きれなかったんですが、みなさんぜひ挑戦してください。

そのUplink CLOUDで、次に展開されたのが配給会社応援パック。独立系の映画配給会社を支援するために、初配信を多く含む作品をパックにして安価で見られるようにしたものです。

その中で、私が注目したのはサンリス。6作品で700円と爆安なのも理由ですが、その6本のラインナップも秀逸なのです。

その中から以前1本『ソング・オブ・ラホール』を紹介しました。

今回、残りの5本を見たわけですが、その中でずば抜けていたのが『心と体と』でした。

『心と体と』の感じられる映像

この映画は、ハンガリー、ブタペストの食肉加工場を舞台に、臨時の検査官として赴任した女性マーリアと、その上司になった男性エンドレとの奇妙な関係を描いた作品です。

映画の最初から、森の中をヘラジカが歩く映像が出てきて、それが一体何なのか、最初はわからないんですが、物語が進むにつれてその意味がわかっていきます。

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2017 (C) INFORG - M&M FILM

簡単に言ってしまえば、それは「夢」なのですが、その夢が二人の関係を奇妙な方向へと導いていくのです。

という内容で、まあその謎も気にはなるんですが、何よりも良かったのが映像です。

全体的に肉感的というか、映像から感触が伝わってくるような。ヘラジカがでてくる夢の映像では、ヘラジカの疾走感や森の静謐な感じ、それらが画面からすっと伝わってきます。現実の方は、クローズアップで捉えられた肌の感じや、体が触れる芝生や布団といったものの感覚が映像を通して感じられるのです。

これには、マーリアの人物設定として感覚が非常に鋭敏であるとされていることも関係しているのかもしれません。

マーリアは記憶力も異常に良くて、何らかの能力者というか普通の人にはない感覚が備わっている人のようで、そんな彼女のいわば「超感覚」を観客も感じてしまうような映像の作りになっているのではないでしょうか。

コメディの中にドラマがある

ほかの作品は簡単に紹介します。

『ロスト・イン・パリ』は、カナダの小さな村からおばを助けるために初めて村をでてパリへと行ったフィオナが直面する様々な困難をコメディタッチで描いた作品。

スラップスティックコメディな感じもあり、感じが嫌間違いの連鎖で巻き起こる騒動ありで、笑えるというよりはニヤニヤしながら味わえるような作品です。

『若い女』は、恋人に家を追い出され住む場所も仕事もなくなったポーラがパリを転々としながら「未来」を探す物語。

といっても、このポーラというのがなかなかのダメ人間で、すぐに嘘を付くし、行動は適当だし、そりゃ親ともうまく行かないよなという感じもあり、でも見ているうちにだんだん応援したい気持ちも湧いてくるようなそんな映画です。

『マチルド翼を広げ』は、精神病を患っていると思われる母と二人暮らしの9歳の少女マチルドの生活を描いた作品。

精神的に不安定なママのせいもあってなかなか友だちもできず、学校でもうまく行かなかったマチルドだが、ある日ママが連れてきたフクロウが話しかけてきて二人は無二の親友に。そのフクロウのおかげもあってマチルドの生活も楽しいものになっていくが、やはりママが騒動を起こしてという話。

9歳の少女が背負うにはおもすぎる荷物を背負わされたマチルドが健気で可愛い。

『私の20世紀』は、『心と体と』のイルディコー・エニェディ監督が1989年に撮ったデビュー作で、カンヌ映画祭でカメラドールを受賞した作品。

アート系によった観念的な作品なので物語を理解しづらく退屈してしまう部分もあるが、モノクロの映像はやはり美しく、引き込まれてしまう。ちょっとシネフィル向きという気はしますが、ハマる人はハマるであろう映画。

1本でもひっかかかるものがあったらぜひサンリス見放題パックをレンタルしてみてください。700円なので!


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