特別支援学校、人権侵害で訴えられる

学校の説明からとして下記の一文があります。これだけです。
「学校側は、生徒が教室で暴れることがあり、小部屋を設けたと説明」
また、市教委発達教育センターの説明として以下のようにあります。
「生徒が転校してきた前後に小部屋を置いたと認めた上で『小部屋は気持ちを落ち着かせる場所だが、この生徒専用ではない。この生徒が小部屋を使ったこともなかった』と説明。人権侵害との訴えについては『申し立ての内容を把握しておらず答えられない』」
文脈からはステレオタイプの学校たたきが感じられます。

しかし、発達の特性によっては、そのようなスペースを設けておくことが合理的配慮になります。狭い場所に入って気持ちを落ち着けることが必要なお子さんは多く見られます。特にADHD傾向のお子さんには有効です。私が校長をしていたときの学校では、体育館ステージに設けられていた緞帳の中を隠れ家にしていた女の子がいました。教室からいつのまにかいなくなり探すときまってこの中にいました。図書館の受け付け机の中を隠れ家にしていた男の子もいました。

外国の学校で多く見られるスヌーズレン・スペースの考え方を取り入れたのかもしれません。スヌーズレンとは、暗い落ち着く場所にライトや音楽や好きなぬいぐるみなどを用意し気持ちをリラックスさせるスペースを用意し、障がいのある児童生徒への教育に役立てようとする試みで、日本の特別支援学校でも取り入れられています。一人用のテントを利用したスヌーズレンス・ペースもあります。また、段ボールハウスも有効で、いくつかの学校で用意されているのを実際に見たことがあります。

生徒の障がいや対応などはわからずに書いていますが、保護者への説明も不十分あるいは伝えても理解してもらえなかったのかもしれません。コミュニケーションが難しい条件が重なっていることも考えられます。

よかれと配慮していても理解してもらえないことは大学教員として過ごした10数年でも毎年のようにありました。合理的な配慮という言葉で書かれていますが、極めて難しいことです。記事としては、ありふれたダメ学校という印象で受け止められてしまいますが、その真相はいかなるものだったのかはわかりません。10年以上も前のことですが、多くをかたらず特別支援学校の校長として自ら責任をとって早期退職した仲間がいました。優秀な人材でした。一方的な報道と保護者の訴えが原因でした。

もう少し特別支援学校側の説明を深掘りしての取材をしてもらいたかったです。ありふれたダメ学校の記事、この見出しだけで判断し学校にクレームを入れる方が増えることが心配です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?