三菱 零式戦闘機52型(1943)
零戦の型式には21型とか52型とか二桁の数字が組み合わされている。前の数字は、機体のバージョンナンバーで、後ろの数字はエンジンのバージョンナンバーである。零戦21型は、機体バージョン2でエンジンバージョン1ということだ。零戦52型というのはだから、機体バージョンが5でエンジンバージョンが2となる。32型で主翼の端を切り落としたが、その長さのまま翼端を円形に整えたのが52型だ。主翼の他には、推力式単排気管にしたことが特徴で、エンジン排気の整流・推力増強を狙い排気管を分割して機首部の外形に沿って配置する推力式単排気管が外見上の特徴である。運動性の良さよりも速度を少しでもかせがねばならなくなったのだ。最大速度は300kt(556km/h)をわずかに超えた。また、豆鉄砲と呼ばれた7.7mm機銃を13mmに強化した乙型も生産された。
52型は1943年8月から生産され、零戦では最も多い6000機以上が生産された。エンジンや翼だけでなく、戦訓により無線機が改良されたり防御タンクを備えたりした。それまでの単機での空中戦から編隊空戦に変わったため、無線機での連絡が必須になっていた。また、被弾したら潔く自爆することを前提とした戦い方では、うたれてもうたれても立ち上がって向かうことを良しとするアメリカ軍とは勝負にならない。防御力の強さも戦闘力の一部であることをようやく日本軍も学んだのだ。しかし、時はすでに遅しで、52型が相手とする敵機の性能は遥かに高く、日本側のパイロットの腕も落ちていた。いや、パイロットの腕が落ちていたというのは誤解を招く。パイロットを訓練する時間がなく、離着陸ができるようになったくらいで戦場に出さざるを得なかったというのが正しい。多くの52型は特攻機として使われることになった。
零戦52甲型
全長 9.121m
全幅 11.00m
全備重量 2,743kg
発動機 栄二一型(離昇1,130hp)
最高速度 564.8km/h(高度6,000m)
航続距離 1,920km
武装 20mm×2、7.7mm×2 60kg爆弾2
資料がたくさんあるのか、零戦の中で一番プラモデル化されている。わたしが10歳の頃、はじめて作ったプラモデルも1/72の零戦52型だった。