見出し画像

閉店していた想い出のラーメン屋

ひっそり閉店していたらしい。
笹塚の老舗ラーメン店「福寿」(写真は笹塚の別のラーメン屋です。後で説明します)。

東京在住の舞台俳優と、この店の話で盛り上がり、次は、ここで再会しましょうと約束したのが既に4年ほど前になるでしょうか。
コロナ禍もあり、なかなかお目にかかることもできませんでした。
 
ようやく年内に会う約束をした5分後のこと。
「閉店してた~」
 のメッセージに衝撃を受けます。
 
僕は、この店から徒歩5分ほどの場所で20代を過ごし、
常連というほどでもないけれど、
暖簾がかかっているのを見かけると、
少し腹ごしらえしておこうかなと、時折、ふらりと伺っていたのです。
駄菓子屋にでも寄る感じの下町のラーメン屋でした。
瓶ビールなど飲み物が置いていなかったので、余計にそう感じたのかもしれません。
 
コンクリートむき出しの床面、
少し斜めになっているカウンター、
500円のラーメンか、少し高い(といっても600円もしなかったと思いますが)ワンタンメン、お腹が空いていたら、大盛ラーメンを注文……様々な想い出が蘇ってきます。
 
大阪の舞台俳優が我が家に住んでいた時、一度くらいは一緒に行ったかもしれないけれど、一人で伺っている記憶しかない店でした。
今のようにスマホも読書習慣もなかった20代の僕は、
年齢不詳で、いつも短パン姿の店主が、ぐつぐつ煮立った釜に緬を放り込む様をぼんやり眺めていたのです。
 
僕は何を考えていたのかなぁ。
当時、全国を旅しながら周っていた子どもショーのことを考えていたのか、
それとも未だに見つかっていなかった「自分が就きたい職業(当時は職業に囚われていたんですよね)」の焦燥感にかられていたのかもしれません。
 
出てきたネギとメンマとチャーシューがのったちぢれ緬のラーメンをすすり、少し甘めの鶏ガラスープを飲みきり、器の底に書かれた「日本一」の文字を見て店を後にするのです。
 
舞台俳優が送ってくださったネットの記事には、今年の春に、ひっそり閉店されたらしい。
お疲れさまでした、そして、お世話になりました。
 
写真は、そのメッセージをいただいた日に、立ち寄った笹塚の別のラーメン屋。
20代の頃、パートナーとよく通った店で、メニューは、すっかり変わってしまったけれど、内装は、そのままで、懐かしさを反芻していました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?