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豚とバリ島の結婚式

豚の顔を食べたことはあるかどうか聞かれました。
馴染みの店で「ミミガー(豚の耳の皮)」が出てきた際のことです。
酢味噌やポン酢につけて食べるのですが、コリコリしていて、僕は好きなんだよなぁ。
コラーゲンたっぷりで美容にもいいらしい。
 
さて、豚の顔。
沖縄の土産物で見かけ、スモークした豚の顔が真空パックに入って、少々、クシャクシャ気味に売られています。
 
那覇市の国際通りから少し入った牧志市場では、豚の顔のまま店頭に並んでいる光景も見かけます。
20代の頃、初めて沖縄を訪れた際は、おまじないか何かと思っていました。
ある時、沖縄在住の方に話を聞いたら、
普通に買って食べるようで、好きな人は、2つ、3つまとめて購入していくのだとか。
 
顔を細かく切り刻み……と綴っていると何だか恐ろしくなります。
「目がついている魚の方が、よほど怖いよ。
こっちは目がないんだから、人間の顔パックをはがしたのと変わらないよ」
 と言われ、「なるほど」とつぶやきました。
 
顔を切ったら、毛を焼くなどして、
茹でたり蒸したりして、ミミガーと同じように食べる、
もしくはチャンプルー(毛)にして食べるようです。
 
こういった話になると、「命の授業」として豚を飼った後、給食で調理する教育に話は及び、様々な議論が巻き起こることも。
 
僕は、「豚」に関しては、今でもバリ島の村の結婚式で準備からお手伝いに参加したことが忘れられません。
結婚式の前夜、というより夜中、お祈りをしてから、
生きている豚の首にナイフを当て、
血を受け皿で受け(これも調理に使います)、
火であぶって毛を焼き、
身体を裂いて、腸を川の水で洗うなど、
部位は一つ残らず、調理して結婚式の料理として出されます。
 
あの時、もし、動物愛護団体の方々から、この行為に関する意見を求められたらと考えたんだよなぁ。
インドネシアの国教イスラム教は豚肉が禁止だけれど、バリヒンズーでは「豚」を食べるんですね……ってごまかしそうだなぁと思ったっけ。
未だに僕は是非の明確な答えはでません。
ただ、あの結婚式の準備に参加してよかったと思っています。

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