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日焼けか地黒か

 「よう焼けとるなぁ」
 昨晩、研修所の大浴場のカランでシャンプーボトルに手を伸ばし、
シャンプーを出していると、
湯船に浸かっていた初老のおじさまから声が聞こえます。

浴場には彼と僕しかいません。
僕のことなのでしょう。
 
「おかげさまで~」
 と振り向いて笑顔で答え、手にシャンプーがついているので、すぐ元の態勢に戻り、頭につけたのですが、
ん?なんか変な答えだよなぁと洗髪しながら考えます。
少なくとも会話が繋がる返答ではありませんでした。
 
こんな時、どう答えたらいいのだろう。
「草刈り焼けですかねぇ」もしくは「農業焼けですかねぇ」の方が会話が続いたのかなぁ。
でも、蚊避けで、長袖Tシャツなど全て身体は覆っているから、正確には顔くらいしか焼けていないはず。
 
おじさまは背中を見て言ったのです。
おそらく。
だとすると
「地黒なんです」
 の返答になるのか。
子どもの頃から、身体は弱かったけれど、いつも肌は黒かったかなぁ。
日焼けが身体を丈夫にすると信じ、やたら太陽を浴びていたこともあるのでしょうか。
 
それに加え、顔が濃いものだから、
海のない岐阜県で生まれ育ったにも関わらず、
上京してから初対面の人から「沖縄出身ですか?」など南国出身と間違えられることもありました。
沖縄本島で、現地の高齢者から、「お前、宮古(島)か?」とさらに南の島出身と思われたことさえあります。
 
頭を整理しながら、全て身体を洗い終え、湯船に浸かろうと振り返ったら、既におじさまはいなくなっていました。

大きな湯船に一人、ゆったり浸かりながら肌を眺めていたわけです。

今日はチリはサンティアゴに貼られていたポスターで。

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