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要介護4の母から学ぶこと

母の介護がライフスタイルに入り込んで長い年月が経ちました。
あいかわらず母子戦争は激しく、振り回されることだらけですが、母から教わることも多い。
 
たとえば、誰に対しても「ありがとうございます」を言うこと。
施設や訪問入浴など介護してもらうスタッフには、もちろんですが、家族に対しても必ず言います。
トイレの介助を手伝ってもらって「ありがとう」、
ご飯を出してもらって「ありがとう」など、
「ありがとう」と言われると悪い気はしないんですよね。
激しい喧嘩の途中でも、「ありがとう」と言われると、「まぁ、いいっか」となっちゃうんだよなぁ。
 
また、「幸せ」を感じる姿勢にもハッとさせられます。
朝、起きて、カーテンを開けたときに、「いい天気やなぁ」と喜び、
車椅子を押しているとイヌフグリなど小さな花にも嬉しそうに声をかけ、
インスタントコーヒーでも「美味しいなぁ……」とため息をつくなど、
小さなことに対して幸せを感じる姿勢は伝染するもので、
周囲も幸せな気分になるんだよなぁ。
 
「なるようにしかならん」と肝が据わっていることも学びました。
「投げやり」ということではなく、
考えても、どうにもならないことは、くよくよ悩まない。
たとえば歳をとることは考えてもしかたがなく、
要介護4になってしまったことはどうしようもない。
そこからどうするか、できること、楽しめることはないかという姿勢を感じます。

しかし、最初から、そうだったわけではなく、
7年ほど前、首から下が不自由になった時は、「死にたい」と言っていました。
このところ、その過程を整理しながら、
母の生き様は僕の考え方に影響を及ぼしていることに改めて気付かされます。
まさか、母から、今も、こうして学ぶとは思ってもみませんでした……など、普段の講演は、「旅」の話が多いのですが、先日は、初めて「母」の話をしました。
 
「輪之内(隣町)のJAで講演あるんだよね?行きたいんだけど」
 今週に入っても問い合わせが続いたので、綴りました。
ありがたいのですが、既に先週、終わっているんです。
今後ともよろしくお願いいたします。
 
写真は、徳島県は「大塚国際美術館」にて。

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