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『経営者の条件』(P・F・ドラッカー)ブックレビュー

ついに手を出しましたよ、ピータードラッカー氏の本に。ドラッカーでいうと直近で有名なのは漫画の『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの 「マネジメント」を読んだら』だと思うんだけど、なんとなくそっちよりちゃんとした本に興味があって、『経営者の条件』にしました。
この本ねぇ・・・ちょっと読みづらかった(笑)
例がわかりづらかったからかな…。でもいつもの、1回線を引きながら流し読みして、2回目でメモを取りながら読んで、そのあとレビューを書く・・・の流れで、なんとか理解を深められそうです。

この本の主題は、『エグゼクティブの任務は成果をあげることであり、その力は努力で身につく』。さぁ行ってみましょう。

序章:成果を上げるには

以下の8つの習慣が必要(P2~15)
①    なされるべきことを考える:1~2つに絞り、優先順位をつける
②    組織にとって良いことは何かを考える
③    アクションプランを作る:いつまでにどんな成果をもたらすべきか&成果のチェックポイント(中間/最終)を設ける
④    意思決定:決定を行った後、定期的に見直すべし→人事において、新部署で担当者がうまくいかなければ元に戻してあげるべし
⑤    コミュニケーション:アクションプランは上司・部下・同僚に意見を聞け
⑥    機会に焦点を当てる:最大の機会に最高の人材を
⑦    会議の生産性アップ:事前に目的を明らかにする
⑧    「私は」ではなく「我々は」を考える:最終責任は自らにある。聞け、話すな

 ⑦は結構今興味あることなのよね。『トヨタの会議』だっけ?実は今読んでみたいのよ。

第1章:成果を上げる能力は習得できる

成果を上げる人は地道で、亀のように一歩一歩進み先に目標を達成する(P18)
知識労働者として知識・アイデアを生み出しアウトプットへつなげ(P21)
『エグゼクティブ』の定義:組織の活動に対し、重要な意思決定を行う知識労働者(P26)
エグゼクティブは意識的に外の世界を近くする努力をしなければ、内部の圧力(時間の制約、日常業務etc)によって外が見えなくなる(P36)
1つの強みを持つ人が、それを生かせるような組織を作るべし(=個人の能力の飛躍ではなく、方法の改善で仕事ぶりを向上させることが重要)(P38)
成果を上げる能力は5つ。①時間を知る②外の世界への貢献の焦点を当てる③強みを生かす④優先順位をつける⑤意思決定する(P43) 

個人の能力の飛躍ではなく、個人の能力を最大限に生かせる組織を作るべし、か。いいねぇ。

第2章:汝の時間を知れ

まずは時間を知ること。①記録する②原因の整理をする③まとめる の3段階(P46)
成果を上げるには細切れな時間ではなくまとまった時間が必要。一方、人間関係が絡むと必要な時間が増えるため、自由にできる時間を管理することが必要(P51~53)
①    記録した後は意味のない時間を捨てる/ほかの人間にやってもらう/自身で取り除ける時間浪費原因を排除する(P59~61)
②    ルーティン化を怠っている/人員過剰/会議過剰はないか(P64~68)
③    小さな時間は役に立たないため、自由に使える時間を大きくまとめる。毎朝自宅で仕事をするのも有効(P63~64)
 上記①~③で自由な時間がどれだけあるかを把握し、まとまりの時間として確保し、生産的でない時間の有無を常に疑え(P75)

まとまった時間を確保する重要性、染みるわぁ。僕も週に1日、自分で考え付いた分析を数時間集中して実施する時間を確保していて、この時間がたまらなく効果的で好きなのです。

第3章:どのような貢献ができるか

果たすべき貢献を考えるべし(P78):知識あるものは理解されるよう努力すべし。そして知識が同組織全体の成果に結びついたのかを知れ(P89)
自らの貢献に責任を持つものは、その狭い専門分野を真の全体に関係づけられる(P91)
貢献に目を向けるとコミュニケーション、チームワーク、自己開発、人材育成の能力を身につけられる(P93)

第4章:人の強みを生かす

組織は人の弱みを意味のないものにできる。したがって強みを最大限に発揮させる人事が大切(P102)
人は強みと弱みを持つ。人間関係論では「手だけを雇うことができない。手とともに人がついてくる」という言葉があるが、人の持つ強みを成果につなげ、弱みを中和し無害化する組織が望ましい(P106)
強みを生かす配置をするには以下の手順で適切な仕事の設計と、そのうえでの適切な配置をすることが必要(P102~122)
①    理にかなった達成可能な仕事か
②    変化に適応できる大きな仕事か
③    その人間にできるか
④    弱みを我慢(許容)できるか
エグゼクティブは人を変えることではなく、人の持つあらゆる強みを動員させて、全体の能力を増加させるのが任務(P135)

人間関係論の言葉が好き。弱みが必ずあるから、それを無害化し強みを最大限生かす組織を作れと。

 

第5章:もっとも重要なことに集中せよ

真の貢献をもたらす仕事に避ける時間は少ない。したがってもっとも重要なことから始め、一度に1つのことのみをせよ(P138)
自身と部下の仕事を見直し、成果を期待できなくなったものは捨てよ(P142)
新しい活動をする前に、古い活動を捨てる意識を(P145)
優先順位の決定に必要なのは勇気。原則は以下(P151)
過去より未来が優先/問題より機会に焦点/横並びな発想より独自性のある発想/無難で容易なことより変革をもたらすこと

形骸化した過去の業務を捨てる意識をして、意味のない継続をしないことが重要ってことだね。僕も年に1回見直してるわ、これ。 

第6章:意思決定とは何か

意思決定は実務レベルに下ろしてこそ。(P155)
①    問題の種類を知る:常に問題は一般的であり、本質的な原因は共通しているという視点を持て。そうすれば少ない対応策で様々な問題をパターン化して処理できる。“法律の多い国は無能な法律家の国である” (P168,172、173)
②    意思決定により満たすべき目標(必要条件)を明確にする(P174)
③    「何が受け入れられやすいか」からスタートするな(P180)
④    決定を行動に変えるべく、意思決定の実施に必要な行動が何か、命ずべき仕事がなにか、その実施に当たらせる責任者はだれかを明示せよ(P185)
⑤    自ら出かけ、確かめよ。決定が有効か否かを知れ(P189)

中でも①が好きだな。まずは問題に対し、本質的なものを知るべし、そうすれば少ない対応策で多くの問題に対峙できるってことでしょ。わかるわかる、んで、なかなかできていない(笑) 

第7章:成果を上げる意思決定とは

正しい意思決定には、事実ではなくまず意見(仮説)からスタートすべし(P193)。そして選択肢を持てるという意味で、意見の不一致があることが必要(P203)。そのうえで、本当にその意思決定が必要か(それをしないと損失になる、または機会を失うか)を再考し、最後は勇気をもって実行せよ(P207~208)

仮説があるからこそ追うべき事実を追求しやすいってことよね。僕も今、様々な仮説を立てて仕事に当たっている。だからやらされ仕事ではなく能動的に仕事ができているし、いつも楽しい。充実している。

名著を見ると最近気づくのは、やっぱり究極的には似たようなことにたどり着くのよね。5章の『重要なことに集中せよ』は『ビジョナリーカンパニー2』にも書いてあったし、7章の『意思決定に対し最後は勇気をもって実行せよ』はちょっと『嫌われる勇気』にも似てて、結局最後は勇気だと。

生き方や働き方がわかってきた気がする。

 

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