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平本蓮vs斎藤裕

平本蓮vs斎藤裕の試合は至極の時間だった。ゆっくりかける時間がなかったけど、ようやく記事にできる。

平本蓮―――彼のプロフェッショナルな姿勢が好きだ。マニアックな感じ、たまらない。
試合前のトラッシュトークも、負けた試合後の人間臭い失望の仕方も、一方での試合後会見の誠実さも、ある種”極めた男”を連想させる。
だから、このRIZIN LANDMARK5も、この試合が見たいからPPVを購入した。

さて、試合については、1R開始1分までは正直、「これはいける!」と思った。ローキックが数発、スパスパ入っていたように思えたからだ。しかし1分過ぎ。さすがの斎藤、タックルでの密着に成功。以降、倒れない平本、それでも密着できる&倒そうという姿勢が見せられる斎藤というレベルの高い試合が展開された。僕は格闘技ファンでありながら細かい技術については解説のTKに言われて初めて理解できる程度の知識だけど、それでも十分楽しめた。
あっという間に1Rが終わり、2Rもスタンドでの探り合いから斎藤がタックル。平本も左フックで合わせるが、その前に斎藤の頭が平本の腰に潜り込むというスリリングな展開。平本の態勢の入れ替え、不意のハイキック、その後の斎藤の豪快なタックル、それに対しバックを取り返して倒していく平本…というヒリつく攻防。
3R序盤の距離の取り方は平本に分があった。いわゆるドミネーター戦のように、倒すのが無理な距離から斎藤がタックル→平本が無難に対処。一方で壁レスの攻防の中で細かい打撃を当てることで、斎藤もアグレッシブな姿勢を崩さない。お互いが一本勝ちを見据え攻める中、判定の面でもベストを尽くしているように見えた。
さて、判定についてはご存じの通り、2-1のスプリット判定。賛否があるらしいけど、僕からすれば凄く納得感のあるスプリットだった。全体的に攻めていたのは絶対に斎藤、でもRIZINの判定基準でいう『ダメージ』の部分ではローキックや離れ際のフックで平本、という見え方だったとも思う。RIZINの判定は…本当に難しい。3連敗で後がない状況で迎えていた斎藤の、判定後の珍しい雄たけびがまたいい。

さて、平本が勝つには、いわゆる『積極性』が必要だったという議論がある。カウンター(=待ち)狙いではなく、いわゆる自ら攻める形に持っていきたかったと。それに関し、平本サイドで空手をベースにした戦術を託した岩崎先生は以下のコメント。
「俗に空手に先手なしと申します。護身術から始まった空手は何より先ず防御を大切にします。今回もとにかく防御を大切に稽古してきましたが、極意とも言える攻防一体の技は未だ発揮できませんでした。ただ“見える、調和する”などの武術的な要素は垣間見える部分もありました。そこは収穫です。調和からの攻防一体の攻めはできませんでしたが、それをさせない強さが当たり前ですが斎藤選手にはありました」
このコメントがまたマニアックでたまらない。空手の源流を大切にする姿勢と、その中で『攻防一体』『見える、調和する』という次のステージを追求する姿勢。ここまでいくと、僕にはもうわからん(笑)

とにかく、この試合の結果を以て、平本にも斎藤にも『次』が生じた。両者の次戦に期待したい。


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