ラスベガス脱カジノ、カジノは斜陽産業
カジノ誘致本格化。
米不動産開発大手のラッシュ・ストリート(イリノイ州)は北海道苫小牧市に事業所を開設。苫小牧がIR候補地として承認され次第、正式に申請する。
カジノやホテル、商業施設などが入居する複合施設を建設し、最大で年間26億ドル(約3000億円)の売上高を見込む。
カジノを誘致すれば外国人観光客が増え、経済浮揚の起爆剤として期待できるのか?
元マッキンゼー日本支社長・大前研一氏は「SAPIO 7・8月号」で「カジノ問題の本質は依存症対策ではなくカジノは斜陽産業という事」と根本的な問題を指摘している。
①ニージャージー州アトランティックシティではトランプ大統領が経営していたカジノも含め次々と破綻した。
②マカオのカジノは13年がピークで14年以降売上低迷、16年279億ドル、17年332億ドルとピーク時の74%。シンガポールも15年以降は売上げが伸び悩む。
③マカオ、シンガポールの低迷要因は中国人富裕層カジノVIP客の減少。シンガポール・マリーナベイサンズ売上の約8割がカジノ。カジノVIP客頼みのビジネスモデルはリスクが高い。
④ラスベガスは脱カジノを推進。
⑤経済効果7兆円は絵に描いた餅で実際は10分の1の約7000億円も難しい。
シンガポールの成功は一時期で、中国富裕層に頼るビジネスモデルは非常に危険だ。
大前氏の指摘で興味深かったのは、カジノの本場、ラスベガスがカジノに頼らないビジネスモデルを構築していることだ。
ラスベガスは脱カジノを推進。カジノ収入は全体の4割まで低下。
シルクドソレイユなど世界的エンターテインメントの興行、ベラージオ噴水ショーなど街全体をテーマパーク化している。
MICE、家族旅行客を取込み、カジノ以外の収入が6割(ショー・イベント30%、飲食・ショッピング15%、宿泊15%)とカジノに頼らないビジネスモデル転換に成功した。
IR法案が成立し、誘致に走る自治体。
「カジノは斜陽産業」という認識を持てば、カジノありきの地域振興策はありえない。お粗末すぎる。
地域の人たちの知恵を結集して2800万人の訪日外国人に来てもらう方策(宿泊施設整備、自然・文化体験、情報発信)を考え、実行した方が良いのではないだろうか。
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