マレーシアは消費税(Goods and Service Tax)を6月から廃止する。消費税制度は2015年にナジブ前政権が導入した。

消費税廃止のマレーシアが羨ましい。

消費税廃止を公約に掲げ腐敗したナジブ政権を倒したマハティール首相。マハティール首相が早くも公約実現に動き出した。

一方、日本では2019年に消費税率が10%に引き上げられる。

消費税で財政再建というが、とんでもない。後で説明するが消費税導入は財政再建が目的ではないからだ。

消費税が導入された1989年一般会計税収は54.9兆円でその後2年間は税収は伸びたものの失速。消費税導入で税収は落ち込むパターンは続く。1997年に消費税を3%→5%に引き上げたが更に税収が減り、2009年は38.7兆円まで落ち込む。

2014年に消費税を5%→8%に引き上げ2017年税収見通57、7兆円、2018年は58兆円を超える見通し。税収が増えている今だから消費税率を引きあげるタイミングと財務省は考えているのかもしれない。

が、数年後消費は落ち込み税収は停滞、減るのは確実。

数年後には消費税率15~20%へ引き上げの議論が活発になっているのだろう。

【問題点1】消費税は実質的な「価格」

消費税導入、引きあげでなぜ消費が落ち込むのか?

それは、消費税は税ではなく実質的な「価格」だからだ。租税学者の富岡幸雄氏がそのように主張されている。

考えてみればわかる。

例えば、相見積もりを複数の業者から取るとしよう。業者は受注したいから消費税分を吸収しようと本体価格を下げる。値下げで利益を削らなければいけない。利益を削り、値下げしても消費税は納税しないといけない。

製造業者から最終消費者まで商品を購入するたびに「付加価値税」という名の「価格」が乗っかってくる。

消費税という「価格」が乗っかり実質値上げになれば消費は当然落ち込むのは自明。大企業は良いが99.7%の中小零細企業には厳しい。

「消費税」「付加価値税」という名の「価格」は中小零細企業にとっては企業活動の足を引っ張る要因。資金が脆弱なベンチャー企業も消費税という「価格」を負担しなければいけない。

一般消費者心理から言えば、所得税という納税義務を果たしているのに、何かを買う度に消費税という「価格」の負担をしいられる。

消費者は消費税を負担することを「損」と感じる。消費税は「損」というイメージが、消費する度に「損」を常に感じる。消費税は消費者マインドを引き下げるには有効だ。

消費マインドを引き上げ消費を増やすには、消費税を廃止した方が一番効果がある。

【問題点2】消費税の本質は「輸出補助金」

消費税の本質は「輸出補助金」で消費税は大企業の輸出還付金に化ける。

医療も消費税は非課税だが、還付金はもらえない。日本医師会は輸出企業だけが還付金があるのはおかしいと主張している。(※税理士 湖東京至氏参照)

平成11年度の還付額は1兆9000億円。売上10億円以上の大手企業が1兆7000億円で全体の9割を占めている。

トヨタ自動車のお膝元、愛知県豊田税務署では11年度の納税額が266億円だったのに対し、還付税額は1360億円で差し引き1092億円の大赤字となっている。

経団連、財界が消費税引き上げに賛成するのは、輸出補助金として還付されるからだ。

消費税還付金は、輸出大手企業にとって非常に有利になる。政府にとってもTPP輸入自由化を想定した、実質的な輸入関税障壁になる。

トランプ大統領が、自動車関税を25%に引き上げると発言し波紋をよんでいる。単なる貿易赤字、米国雇用創出の話ではない。

消費税還付金という輸出補助金をもらい年間170万台も米国へ輸出する日本自動車メーカー、政府への警告と受け止めるべきだろう。

まだまだ消費税については問題がある。

世界的リーダーであるマハティール首相は、なぜ消費税を速やかに廃止したのか?

そのことをもっと考える必要があるのではないだろうか。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30294200Q8A510C1MM0000/

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