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ランボーとスタローンを誤解していませんか?

暑い、蒸し暑い、夏来てますね。早く梅雨が明けるといいですね。

1.シルベスター・スタローンをめぐる誤解

みなさんはシルベスター・スタローンというハリウッド俳優をご存じでしょうか?スタローンの話題をすると必ず起きる決定的な問題があります。それが『スタローン、筋肉バカと誤解されがち問題』です。

実際、スタローン出演の映画は大味なアクション映画も多く、時代的にも80年代はアメリカンニューシネマの時代が終わり、勧善懲悪の娯楽アクション映画の過渡期であったので、筋肉バカイメージがつくのも理解できます。

ですが、シルベスター・スタローンに一歩でも踏み込んで、そのキャリアや出演作を見ると、そのイメージは一変します。スタローンを正しく評価すれば、彼ほど信用できる映画人はいません。

この、スタローンを『イメージで語る人』と『信頼している人』とのギャップが大きすぎるため、話が噛み合わなくなることしばしばです。

では、スタローンを理解するには?その解決方法の1つになり得るのが『ランボー』です。

2.ランボーシリーズ

・ランボー(1982年)
・ランボー怒りの脱出(1985年)
・ランボー3怒りのアフガン(1988年)
・ランボー最後の戦場(2008年)
・ランボー ラスト・ブラッド(2019年)※日本公開2020年6月26日

最後の戦場までの4作を追うと、シルベスター・スタローンへの『誤解』と『理解』はつかめると思います。※『理解』だけなら『ランボー』(1982)だけで十分です。

ランボー(1982)は当時の『ベトナム帰還兵』の抱える深刻な社会問題を扱った社会派映画であり、娯楽アクションとは一線を画す構造になっています。このランボーがヒットしたことにより続編が作られますが、2作目、3作目は時代による影響により、爆薬大サービスの娯楽アクションとなってしまい、『ランボー』のイメージが娯楽アクションに取って代わられます。

これを4作目『最後の戦場』で見事に社会派映画へ戻したのが、シルベスター・スタローン本人です。スタローンが脚本・監督を務め、当時のミャンマーの軍事政権における軍部の暴走、民族浄化の問題を表面化させる社会派映画に仕上げました。

3.ランボー(1982)

ベトナム帰還兵であったジョン・ランボーが旧友に会いに行くが戦争の後遺症により既に他界していた。戦友宅を離れ、食事に寄った街で保安官に目を付けられ、事務所で拷問まがいの取り調べの受ける中、戦時の記憶がフラッシュバックし、山中へ逃走。追ってくる警官たちをゲリラ戦で迎え撃つ。

本作は、ベトナム戦争で勲章を得た英雄が祖国に戻るなり、疎外され、抑圧されるという社会問題を浮き彫りにするとともに、戦時に負ったPTSDに悩まされる青年を描いた繊細な作品です。ここに元グリーンベレー(ゲリラ戦を得意とする)のゲリラアクションを加えて、社会派エンターテイメントに仕上げています。アクション映画が持つ爽快感とは異なり、胸に迫る、とても素晴らしい作品です。スタローンはフィジカルイメージが先行していますが、実は、実は、とても繊細な演技(特に表情が素晴らしい)をします。本作では、そのパフォーマンスが十分に堪能でき、ストーリーも秀逸です。

『ランボー(1982』だけでも観ることを強くオススメします。

4.ランボー怒りの脱出/ランボー3怒りのアフガン

割愛します。

哀愁とランボー無双、大好きですよ。ただ、今回は不要かな、と。

5.ランボー 最後の戦場

タイとミャンマーの国境付近でミャンマー軍事政権によるカレン族の迫害が激化。タイ辺境のジャングル地帯で暮らすジョン・ランボーは状況を知りつつも静観の構えを見せていたが、ある事件をきっかけに再び戦いの中に身を投じていく。

スタローンが自身で脚本・監督を務め、当時の社会問題をテーマに取り上げて、メッセージ性の強かった1作目に回帰させます。もう1つ注目すべき点は人体損壊などを伴った激しい暴力描写です。スタローンは『暴力は嫌悪すべきもの』として表現し、そこからなるべく爽快感を排除するスタンスを取ります。暴力描写から逃げない姿勢には賛否が分かれますが、私がスタローンを信用できる男と評価する点の1つが、その暴力描写への真摯な姿勢です。ファンからは1と並んで名作と言われる作品です。

6.最新作 ランボー ラスト・ブラッド

最新作ラスト・ブラッドですが、ランボーシリーズ4作全てを予習してからの鑑賞を強くオススメします。少なくとも、1と4だけでも観てください。

ラスト・ブラッドの感想はまた別の機会に。

※ランボーシリーズは、アマゾンプライムやU-NEXTなどでご覧いただけます。

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