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AI後の世界をどうするか


 
ChatGPTの出現によって、シンギュラリティといったなんとなくの概念でしかなかったものが、リアリティをもって想像できるようになってきたと思います。
 
 
「人間に残るものは何か?」ということはずっと考えてきました。
 
 
 
例えば、スポーツ。これは人間社会においてずっと残っていくような気がしています。どれだけロボットが上手にテニスをできるようになったとしても「自分がテニスをする喜び」はなくならないな、と思うわけです。
 
ウィンブルドンに人型ロボットが出てきて、人々は感動するでしょうか?たぶんきっと、どれだけテニスの上手な人型ロボットが出てきても「ウィンブルドン」は人間がやっていて、それを見るのを楽しみにしている人たちがいる、、、それは残るような気がしています。
 
みなさんはどう思いますか?
 
 
 
いたるところで「なくなる仕事」ということが考えられています。
amazonの出現によってdeath by amazonという言葉が出来てように。
 
実際にamaoznは、町の本屋を随分減らしましたし、
iTunesの登場で、町からCD屋さんはなくなりました。
デジカメが出現して、富士フィルムはフィルム屋さんではなくなり、町から現像屋さんもなくなりました。
 
 
 
ここから10年でおこる産業構造の変化は、これまでのこうした「業界革命」のレベルを超えて起こるだろうなと思います。18世紀イギリスで起きたとされる産業革命よりも、より大きなインパクトのある構造変化が起こるんだろうな、と思っています。

ちょっとミクロに視点を持ってきます。
 
 
つい先日、あるクライアントさんのマネジメント研修をしていました。
業界としては、建設、建築業界のクライアントさんです。
 
そこで「建物調査を、ドローンがやるようになる」という話が出ました。
 
 
 
現状だと、マンションの周囲に足場を組んで、職人さんが直接建物を叩いて、打音調査をしたり、目視で調査していたりするのが、ドローンのマイクで音を拾い、カメラで調査することができるようになると。
 
 
これをすると、下請けの調査会社さんに例えば年間1000万円払っていたのが、100万円のドローン一台で済むようになるかもしれないと。
 
「でもそうしたら、下請けさんの雇用はどうしたらいいのでしょう。。。」
 
 
これが出てきた悩みでした。
 
 
 
 
 
 
3億円の仕事を100人でやっていたときに、一人300万円のお給料だったとします。
その3億円の仕事を、ドローン一台でできるようになって、ドローン管理者1人ですむようになったときに。
 
 
経営者は岐路に立ちます。
 
分かりやすくするために単純化してます。
 
選択肢A
100人を雇い続けて、一人300万円を払い続けることもできます。
その「一人でできるドローン管理」という仕事を、100人で交代でやってもらう。
 
選択肢B
99人を解雇して、払う人件費は300万円に圧縮されて、
2億9700万円の利益を手にする。
 
 
 
ただ、実際には「新興企業X社が、ドローンありきのビジネスモデルで市場に参入してくる」というようなことが起こったりします。
 
そうすると、選択肢Aでは「100人を雇い続ける」ということは難しくなります。お客さんが、自分たちのサービスを買ってくれなくなるからです。
 
選択肢Bでも、同じだけの利益を確保し続けることは難しいでしょう。
 
 
 
顧客が「雇用維持のためのコスト」を負担してくれるでしょうか。
 
 
ここで顧客も岐路に立ちます。
 
 
選択肢X
雇用維持を応援するために、コスト負担をして買い物をする。
 
選択肢Y
失業者がどれほど出ようが、コスパのいい買い物をする。

 
私たちはこれまで基本的に「コスパの良さ」を正義として、消費行動をとってきています。
 
そうなると、選ぶのは基本的に選択肢Bと選択肢Yです。
 
選択肢B、と選択肢Yの集積によって生じるのは大量の失業者溢れる社会です。
 
 
今回の産業革命は「新しい雇用を生み出そう」と言っても難しいだろうなと思っています。なにせ、大半の人間よりもAIやロボットの方が賢いのですから、賢さにお金を払うのならば、人間が雇用される範囲は狭まりこそすれ、増えることはまずないだろうからです。 
 
 
本当にそのような未来を出現させたいのか、
どんな未来を出現させたいのか、
そのためにはどんな価値観や社会システムが大切になるのか。
 
そういったことを探求し、実践していきたいなと思っています。

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