「それでも闘う者達へ」 (リーグ第27節・鹿島アントラーズ戦:1-1)
カシマスタジアムでの鹿島アントラーズ戦は1-1。
試合前日、鹿島の選手に新型コロナウイルスの陽性反応が出たことで、開催が危ぶまれる中で行われた一戦となりました。関係者の尽力もあり、無事に開催できたことが何よりだったと思います。
試合は脇坂泰斗の先制弾により、試合が動きます。
相変わらず、脇坂はミドルシュートの精度が高いですね。振り足がコンパクトで、シュートモーションからのタイミングが掴みにくく、コースを狙った巻いたシュートも持っているので、GKとしては対処しにくいタイプのシューターだと思います。距離はありましたが、低い弾道のミドルシュートが見事に突き刺さりました。
これは去年の話ですが、彼は阿部浩之のシュートを練習からよく真似ていると話していました。今年、阿部浩之がつけていた背番号8を引き継ぎましたが、なんだかその理由もわかる気がします。
なお当時は、居残りのシュート練習では新井章太に付き合ってもらい、新井からはGKにとってどんなコースやタイミングが反応しにくいかをアドバイスしてもらいながら打っていたと言います。今年は練習があまり公開されないので、その辺の取り組みがどうなっているのかわかりませんでしたが、試合後の脇坂はこんな風に話しています。
「僕自身、最近は得点がなかったので、キーパー陣に手伝ってもらってシュート練習をしていました。それが結果に繋がって良かったです」
一人の活躍の影に、いろんな選手の支えがある・・・・そんなことも感じたゴールでもありました。
試合はドローとなりましたが、カシマスタジアムでのゲームは、やはり激しい試合となりました。
あれは2017年の試合後のこと。カシマスタジアムで勝利を収めたミックスゾーンで、中村憲剛はこう口にしていました。
「必然的に燃えるよ。ここでは闘わないと勝てないから」
実は今季、中村憲剛が出場したアウェイゲームは、このカシマスタジアムが初めてでした。彼の交代時、そして試合後には鹿島サポーターからも大きな拍手が起きています。そのことについて自身のブログで感謝の言葉を述べています。
きっと彼にとっては、特別なスタジアムの一つだったのだと思います。なお今回の回想コラムでは、過去の鹿島との印象深い激闘を、その時のコメントと併せて振り返っております。
では、ここからが本題です。ラインナップはこちら。
■驚きだった中村憲剛と脇坂泰斗の同時先発。この中盤の三角関係に、指揮官が込めたもの。
■「ユースの時は10番でしたが、大学の時には(背番号)14番をつけていました。大学で14番をつけて、なおさらフロンターレに帰りたいという思いが強くなりましたし、意識してつけていました」。印象深く刻まれる先制後の光景。そしてかつて脇坂泰斗が語っていた、中村憲剛への思い。
■「取った後になかなかボールを前に運べなかった。一度運べば違うのですが、なかなか抜け出せなかった印象がある」(鬼木監督)、「押し込まれた時に、ちょっとずつ相手を押し返すラインを高く保つとか。そういうところでラインコントロールが出来ず、相手を押し返せなくて、攻撃につなげられなかった印象はある」(登里享平)。システム変更でリスクをかけてきた鹿島の圧力と、左サイドで起きていた攻防戦。
■前線のオプションをどう活用させてくのか。ここにきて鬼木監督の頭を悩ますCFW問題を考察する。
■「ちょっとしたことだけど、すごく大きな差になっている」。「鹿島を超える」ために成長し続けてきたチームと中村憲剛の歴史。鹿島という壁に弾き返されてきた際に紡がれていた言葉たち。(中村憲剛を回想するコラム)
■(追記:11月16日)「たたみ掛けることは意識しないと、1-0でも押し込まれる形が増えてくる」(三笘薫)、「そういう中で陣地を挽回して自分たちのサッカーをし続けることを目的に4−3−3を一年やってきた」(大島僚太)、「押し込まれた時に押し返す勇気。そこをもっとつけていかないといけない。そこは自分の目も基準を厳しく持って選手に伝えています」(鬼木監督)。攻撃と守備が表裏一体だからこそ、チームとして改善すべきこと。
以上、6つのポイントで全部で約14000文字です(11月16日に追記しました)。ピッチ内の現象にフォーカスしつつも、そこから派生して色々と書いてみました。
なお、プレビューはこちらです。併せて読むとつながります。→試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第27節・鹿島アントラーズ戦)
では、スタート!
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