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試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第27節・鹿島アントラーズ戦)

11月14日はカシマスタジアムで鹿島アントラーズ戦です。

本題の前に、少しだけ。

先日、Number Webで引退を発表した中村憲剛についてオシムさんが語る記事が公開されました。

・・・・相変わらずのオシム節でしたね。
そして、中村憲剛本人も、自らのツイートでこの記事に感謝の言葉を述べてました。彼自身、たくさんの監督のもとでプレーしてますが、オシム監督の時に初めて日本代表に選ばれ、そこで試合に出続けたことは誇りだと話してくれたことがあります。オシムさんと過ごした日々は、きっと彼のキャリアの中でも大事な宝物担っているのでしょう。

 個人的にも、オシムさんの著書は、一時期よく読んでました。


一番有名なのは「オシムの言葉」だと思いますが、それ以外にも様々な本が出ています。どの本も中心はサッカーの話ですが、サッカー全般に限らず、人間としてどうあるべきであったり、仕事とどう向き合うべきべきか、そしてサッカーを取材する記者・ジャーナリストの役割にも触れていることもあるので、読むと刺激が多かったです。

オシムさんの話す内容というのは、なんというか、「いかん、もっと頑張らないと!」と自然と身が引き締まるんですよ。教えを受けたことのある選手が、オシムさんからアドバイスを欲しがる気持ちがわかります。

10年前の2010年に発売された「オシム 勝つ日本」という本があります。

ここでJリーグについて語っている箇所があって、それは2009年の話題になりますが、オシムさんは「09年に関しては、アントラーズではなく、フロンターレが優勝してしかるべきだった」という興味深い話をしています。

2009年の川崎フロンターレといえば、4冠を掲げながらもリーグとナビスコカップがともに準優勝、天皇杯とACLもベスト8と、どうしてもタイトルに届かず、とても悔しい思いをしたシーズンです。オシムさんは、関塚フロンターレの強さと、そのチームがタイトルを獲る意味を、当時こう述べています。

「09年に関しては、アントラーズではなく、フロンターレが優勝してしかるべきだった。フロンターレの攻撃陣は能力が高く、日本で間違いなくトップクラスだ。個の能力だけをとれば、アントラーズよりもちょっと上だろう。そして監督の関塚隆が、時間をかけていいチームを作りあげた。シンプルだがスピーディーで、とても攻撃的なチームだ。
フロンターレが成功すれば、それは他のチームにも希望を与える。同じ野心を抱いて努力すれば、自分たちも同じことができるのではと、彼らを見て思うようになる。
だからこそ、タイトルを取って欲しかったのだが・・・・素晴らしいチームを作り、素晴らしいサッカーをしながらタイトルにはあと一歩届かない。それでもモチベーションを維持していくのは簡単ではない。関塚が去った後、このチームがどうなっていくのかが興味深い」

後半に触れた「フロンターレが成功すれば、それは他のチームにも希望を与える」という言葉は、中村憲剛も同様のことを言っていましたね。そして「関塚が去った後、このチームがどうなっていくのかが興味深い」という指摘もありました。

 この時が2010年。関塚フロンターレ後、チームのサイクルとして難しい時期もありましたが、風間監督以降に積み上げてきたものはチームの財産となっており、現在の鬼木監督のもとで花が開いています。

 あれから10年。
オシムさんに、今のフロンターレのサッカーを見てもらいたいぐらいですし、そう自信を持って言えるだけのチームになっていることは、誇らしいことでもあります。

そして10年経っても、鹿島アントラーズと上位でしのぎを削っている関係なのも、少し不思議な感じもしますけどね。

では、鹿島戦の見どころを語っていきます。ラインナップはこちらです。

■全体練習に復帰した大島僚太の起用法。中途半端が嫌なので、鬼木監督にストレートに聞いてみた。

■レアンドロ・ダミアンのボランチ、田中碧のセンタフォーワード・・・・ポジションをシャッフルしたハーフコートゲームで思い出した、風間八宏前監督がよく取り入れていたコンバート起用法。

■「そこをもう一つ上回っていくメンタリティー。そしてサッカーの上では、しっかりと自分たちの良さを前面に出す」(鬼木監督)。球際で勝ち、技術で圧倒する。優勝に向けたラストスパートで指揮官が強調したものを、選手たちはピッチで表現できるか。

■「自分たちは前から(奪いに)行くが、(鹿島は)細かく最後まで繋いでくるチームではないし、チャンスだったらロングボール一本でゴール前にくるチーム」(田中碧)、「自分たちがなぜここまで首位を走ってくることができたのか。それを考えると、やるべきことをやってきたから」(L.ダミアン)。今季3度目の鹿島戦。過去2戦との最大の違いはここ。

■「それを、今の若い選手にはわかっておいて欲しい。自分もこのチャンスは逃したくないし、まわりにも逃して欲しくない」。(中村憲剛を回想するコラム:2016年)

以上5つのポイントで、冒頭部分も含めると全部で約12000文字です。この約10日ほどあったインターバルでの練習取材を含めて、見どころをまとめてみました。今回の中村憲剛を回想するコラムは、2016年の1stステージ優勝争いの話です。

なお、前節のレビューはこちらです。→「NOT FOUND」 (リーグ第26節・北海道コンサドーレ札幌戦:0-2)

では、スタート!

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