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「それでも、君は走り続ける」 (リーグ第27節・鹿島アントラーズ戦:2-1)

 等々力陸上競技場での鹿島アントラーズ戦は2対1で勝利。

苦しい試合でしたが、最終的に勝ちきることができました。この試合の勝利で鬼木監督は対鹿島戦のリーグ戦負けなし記録を伸ばしました。これで2017年に就任して以来、リーグ戦は未だに無敗をキープです。

 リードした後半が終始劣勢だったのは事実でしょう。
中盤に大島僚太を投入したもののポゼッション率が低いままで、多くの時間で押し込まれ続けました。ただ、それならば守備で魅せるのが鬼木フロンターレの強みです。

 相手の強烈なミドルシュートを、今季リーグ戦初先発の丹野研太が俊敏な反応でセーブ。4-4-2システムでブロックを作って構え、最終ラインは身体を張って競り合い、クロスボールを跳ね返す。中盤の橘田健人は足をつるほどボールを追いかけました。

 後半の被シュートは3本です。内訳は失点場面と、丹野研太がセーブしたミドルシュート、そしてブエノにヘディングされた枠外シュートのみ。鹿島の攻撃で、ペナルティボックス内を完全に崩されたような決定機はほとんどなかったと記憶しています。守備ブロックの外でボールを持たせて、そこからの攻撃を丹念にはじき返し続けました。

 ゲームをクローズする時間帯では、細部のこだわりも徹底。
例えば86分、遠野大弥が味方からのパスを丹野研太までバックパスした場面があったんですね。相手のプレッシャーを受ける形になったことで丹野が繋げず、たまらずタッチライン際にクリアしています。

次の瞬間、味方が一斉に遠野に向かって不満のジェスチャーを示し、テクニカルエリアにいた鬼木達監督も「ダイヤ!!!」と怒鳴り、その声は記者席にまで響くほどでした(DAZN中継のマイクにも入っています)。

 あそこでバックパスを選択する判断が、最後の最後に水を漏らしてしまう危険性につながるからでしょう。チーム全員でそこはネジを緩めない。ほんの1パーセントであっても、その可能性は排除しなくてはいけない。勝利にこだわる王者の執念を垣間見たような気がしました。

そんな中で掴んだ勝ち点3。未来に向けても、色々と感じることの多かった試合でした。試合分析とともに、そんなことにも触れたレビューにしてみました。

■先制PKを生んだマルシーニョの全力プレッシングと、前半の4-3-3システムを機能させた立役者とは?

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