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鬼木フロンターレを読み解く講座vol.12〜途切れたリーグ無敗記録と、立ち込めた暗雲。いかにしてそこに向き合い、前に進んでいったのか。

鬼木フロンターレを読み解く講座、12回目になります。

 今回も2018年の4月の時期を振り返っていきます。

 勝てずに苦しんでいたACLでの戦いと比べると、実はリーグ戦は開幕から3勝1分と順調に勝ち星を重ねていました。

 ところが、第5節のサンフレッチェ広島戦で0-1で敗れます。これが今季リーグ戦初黒星。これにより、昨年から継続していたJ1でのリーグ戦無敗記録が19でストップとなりました。ちなみにこの無敗記録は、2015年に記録した浦和と並んでリーグ史上2位タイ。そして等々力でのリーグ戦連続得点記録も31でストップすることとなってしまいました。

 悔やまれるのは、終了間際にフロンターレが追いついたと思われた得点が認められなかった点でしょう。審判団の協議の上でノーゴールとして認めず、議論を呼びました。

 結局、長谷川竜也の取り消された同点弾は、後日にJリーグが公式に「誤審」であったことを認めたわけですが、試合が成立した後では勝ち点は戻ってきませんし、結果も変わりません。

 そしてこの敗戦の後、チームはリーグ3試合勝ちなしと苦しみました。さらにACLでも勝てず公式戦7試合勝なし。順位に目を配れば、広島とFC東京の2強状態となり、フロンターレはそこから大きく後退した第2集団として、その背中を追いかける構図の序盤となっています。

 こうした難しい時期に、選手たちはどう向き合い、前に進んでいったのか。もちろん、指揮官にも慎重な舵取りが求められていました。そうした時期にチームが大事にしていたこと。そして、その停滞感を払拭した等々力での第9節・鹿島アントラーズ戦(4-1)にフォーカスして語っていきたいと思います。

(第9節・鹿島アントラーズ戦のハイライトはこちら)

この試合は4点入りましたが、後半開始早々のエドゥアルド・ネットが攻めが上がって決めた2点目は綺麗でしたね。せっかくなので、少し振り返りましょう。

 競り合いでこぼれたボールを拾ったネットが知念慶に縦パス。知念は周りを囲まれながらも粘ってキープ。守田英正→阿部浩之と流れるようにつなぎ、まさにフリーランニングでゴール前に侵入していたネットに渡りました。

「一個前のパスが阿部くんで。阿部くんに出したのは自分。うまくスピードを殺さずに、かつ相手に触らせないようなボールを配球できた。自分もあの1点に貢献できたかな」(守田英正)

 グループとしての絵を描いて生まれた、連動した崩しでした。ただアシストした阿部浩之は、左利きのネットが切り返して右足で打つフィニッシュに関して、最後まで半信半疑だったようで、得意の阿部節で、こうおどけます。

「ネットだから、変なことして外すかなと思ったけど、うまかったですね(笑)。(自分はネットが)キックフェイントするのもわかっていたけど、相手は引っかかってくれた。ネットらしいゴールだった」(阿部浩之)

 鬼木監督も言います。

「今までの試合ではそこを使わないシーンが多くあったので、それを選手に見せて、このタイミングであればチャレンジしようと、勢いのある選手を使っていこうと。その分、出ていく人間はボールが出てくると信じて走ればパワーも出ますし、そういうところが今日はかみあった試合だったと思います」(鬼木監督)。

動けばボールが出てくる。単純なことですが、それの連続でゴールは生まれやすくなります。そんなことを思い出したゴールでした。

では本題に。

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では、スタート!

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