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勝つことで、チームがうまく回り始める。(リーグ第26節・ジュビロ磐田戦:2-0)

 等々力競技場でのジュビロ磐田戦は2-0で勝利。

ルヴァンカップで良い流れができていたとはいえ、リーグ戦では7試合ぶりの白星となりました・・・長かったですね。

前半は、見ていて楽しい内容でした。4-4-2の守備ブロックを構えてくる磐田を、ボールを握りながら「出して、動く」を繰り返して揺さぶり続けます。そしてボールを失った後も、素早い切替で奪い返していく。

 その狙いは、先制シーンにもつながっています。
ゴール前でボールを失った後に、脇坂泰斗が素早くプレッシャーをかけて、ミスになった縦パスを誘発。出足の良いカットで相手をうまく外して、脇坂に縦パスをつけた守田英正の判断も見事でした。守田は脇坂にボールをつけていくと、自分もフリーランニングでゴール前に走っていますが、あのシーンの狙いについて聞くと、こう振り返ります。

「自分の特徴もうまく活かせたと思うし、アシストにはなりましたが、あいつのゴールがうまかっただけです(笑)。あわよくば何か起きるんじゃないかなと思ってました。決めてくれたし、良かったです」(守田英正)

——-あわよくば何か起きるんじゃないかな。

守田と同じように考えていたのが、脇坂泰斗でした。「枠に行けば何かが起きると思って打ちました」と、パスを受けてターンすると、相手守備陣が構えているのを見て、シュートを決断します。

「ターンした時に、ディフェンスが食いついていなかったので、ディフェンスの外側から巻くようなイメージでした。いろんな選択肢がある中で、自分がゴールを取れることが最善だと思うし、そこで相手が食いついてくればパスもありました。食いついてこなかったので、シュートを選択しました」

グラウンダーで下のコースを狙ったのは、事前のスカウティングによるものだと話します。

「GKはブラインドになっていたのと、下(ピッチ)がスリッピーなので。カミンスキー選手は、下のコースが入るというスカウティングがあったので、枠に行けば何かが起きると思って打ちました」

 ちなみに脇坂はアウェイの磐田戦でもゴールを決めていますが、このときも下のコースを狙ったグラウンダーだったんですね。

 彼は阿部浩之のシュートを練習からよく真似ていると言いますが、あのコースを狙った巻いたシュートを見ると、なんだかそれがよくわかりますね。

・・とまぁ、ピッチからたくさんの狙いが読み取れた90分でした。今回のレビューでは、そんなピッチのあちこちにあった駆け引きを拾って深掘りしております。

今回のラインナップはこちらです。

1.「懐で作られてターンだったりで、危ないシーンも作られたので。そこの対応のところは、もう少し慎重にするべきだったなと思います」(山村和也)、「球際でファイトするところはしっかりとやれたかなと思う。その結果、交代してくれたので勝ちだと思う」(馬渡和彰)。フロンターレ守備陣を悩ませたルキアンのポストワークと、アタッカーのアダイウトンを守備に奔走させた馬渡和彰による駆け引き。それぞれにあった攻防のポイントとは?

2.「みんな良いポジショニングが取れていて、ポジショニングで崩せるシーンが多かった」(車屋紳太郎)。なぜ、それぞれが良い立ち位置を取るサッカーが出来ていたのか。意外なところにあった、チームがうまく機能し始めてきた要因。

3.「ボールは持てていたし、支配もしていましたが、怖さがなかったと思います。強い動きがなかった」(脇坂泰斗)、「中を締められても中から行くという共通意思はあったので、そこは良かったなと思います」(守田英正)。素早くボールを動かし、空いた場所を狙い続けた、この日のブロック崩し。強い動きで相手守備陣に怖さを与えたヤストの存在感。

4.「ケンゴさんを目指したいのはもちろんですが、超えていきたい気持ちもあります」。Numberでは書かなかった脇坂泰斗と中村憲剛の話。

5.「前半あれだけ圧倒できて、後半になってずっとボールを持たれてしまう」(守田英正)、「むやみに守備の穴を開けないようにやっていたが、引き込みすぎた部分もある」(谷口彰悟)、「監督としてはもっと前から奪いに行く姿勢をして欲しかったと思いますが、選手からすると結構きつかった」(馬渡和彰)。仕留め損ねた代償を支払った、後半の残り30分間。押し込まれ続けた原因は何だったのか。そして、今後に向けた改善策は?

以上、5つのポイントで全部で約12000文字です。リーグ戦では、久々の勝ちレビュー。ボリュームたっぷりですから、ぜひ読んでみてください。

なお、プレビューはこちらです。→試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第26節・ジュビロ磐田戦)

では、スタート!

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