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「勝利の笑みを 君と」 (リーグ第20節・セレッソ大阪戦:3-1)

 ヤンマースタジアム長居でのセレッソ大阪戦は3-1で勝利。

2位・セレッソ大阪との直接対決を制したことで勝ち点差は14に。優勝に近づく、大きな勝ちとなりました。

  実は鬼木達監督になってから、長居ではリーグ戦3戦全敗。アウェイでの勝率の高い鬼木フロンターレにおいて、数少ない勝てていなかった鬼門だったのです。2018年はリーグ連覇を達成した場所でもあるのですが、試合自体は敗戦していますからね。そんな鬼門をようやく突破しました。

 ちなみに、どれぐらい長居で勝っていなかったのかというと・・・リーグ戦で川崎フロンターレがセレッソ大阪に長居で勝利したのは、なんと2000年5月以来だそうです!カップ戦や長居第2では勝利しているのですが、リーグ戦での勝利となると、20年前。

 なお2000年のJリーグは、セカンドステージ制でした。
しかもこの時の一戦は、セレッソ大阪のファーストステージ優勝がかかっていた試合で、当時の川崎フロンターレは初昇格したチームという立ち位置。お世辞にも強いとは言いがたい時代で、年間最下位で一年でJ2降格するほど勝てなかったのですが、この試合では意地を見せて、延長戦でのVゴール勝ち。セレッソ大阪のステージ初優勝を阻止したという歴史があります。

 20年前のこの試合を長居で現地観戦していたのが、当時小学生だったノボリこと登里享平だったりします。以前、雑誌のインタビューで聞いた時、こんなエピソードを明かしてくれたことがあります。

「長居にセレッソが優勝かかったときに見にいったら、J2降格が決まるチームに負けたんですよ。『(川崎フロンターレって)どこやねん?』と思ってた。気づいたら、(チームに)います(笑)」(登里享平)

 大阪のサッカー少年だった彼は、地元であるガンバやセレッソの試合を観に行っていたとのことでした。セレッソ大阪の優勝を見ようと足を運んだのに、川崎フロンターレというあまり聞いたことのないチームに負けて優勝を逃して、「なんだよっ!」と思って、スタジアムから帰ったそうです。
 
 その20年後。
そんな少年が、かつて見ていた対戦相手のチームの一員として、今度は優勝争い一戦のピッチに立って、20年越しの勝利の場に居合わせているのですから、なんとも不思議なものですね。

冒頭からちょっといい話をしましたが・笑、本文ではピッチ上での戦術的な駆け引きの話をたくさん盛り込んでみました。

セレッソ大阪戦と対戦するときは、「なるほど!こういう対策をしてきたか!」とロティーナ監督のプランに感心することが多いので、ついついそっちを深掘りしてしまうレビューになっています。特に、機動力のあるアンカー・守田英正が守るエリアに対して、その両脇のスペースではなく、動くからこそ背中のスペースを狙ってひっくり返す攻め筋を盛り込んでくるあたりは、さすがだなと感じましたね。同点弾にもつながった駆け引きですが、そこらへんの攻防も掘り下げております。

ラインナップはこちらです。

■天王山の敗戦後に「全体的には良いゲームが出来た」と2度口にした敵将・ロティーナ監督。セレッソが入念に準備してきた二つのフロンターレ対策とは?

「セットプレーの後にマイボールになったとき、相手の背後を突くのはチームの狙いとしてありました」(脇坂泰斗)。緻密な守備陣の綻びを作り出したのは、高い技術力。そして意外性を生んだ、家長昭博による縦横無尽のポジショニング。

■「今日に限ったことではなく、今までもそうやってチームは進んできている」(レアンドロ・ダミアン)。「運がいい」で片付けるのか。それとも「実力だ」と思うのか。ダミアンは、いかにしてゴールの匂いを嗅ぎ取っているのか。

■「勝つことに執着心を持つ選手の姿は、誇らしく思います」(鬼木監督)、自分で言うのも変ですけど、本当に良いチームだなと思えるような環境でやれている。こういうチームは優勝しないといけない」(小林悠)。この大一番を前に小林悠が語っていたこと。指揮官が根付かせ始めた常勝のメンタリティーとパフォーマンス。

■(※追記:10月5日)「後半は失点しましたが、落ち着いて自分たちの時間を作りながら進めることができたと思います」(三笘薫)。「じっくりと戦いながら、結果的に点が取れて勝てましたが、あそこで意外と冷静に考えながら、ゲームを進めていました」(谷口彰悟)。なぜ同点に追いつかれながらも、勝ち切れたのか。勝ち続けるチームのバランスを示す「冷静と情熱のあいだ」。

■(※追記:10月5日)「彼の感じる力が出た試合だと思います。素晴らしいです」(鬼木監督)。家長昭博が見せた縦横無尽のポジショニングを、指揮官はどう評価したのか。

以上、6つのポイントで全部で約14000文字です(※10月5日に2つ追記しました)。かなり読み応えあると思います。ぜひ読んでみてください。

なお、プレビューはこちらです。→試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第20節・セレッソ大阪戦)

では、スタート!

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