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自分たちの攻撃を信じてやり続けていた選手達。そして攻撃で「変えないこと」を選択した指揮官の決断。我慢比べの末に生まれた決勝弾の背景にあった、ふたつの要因を読み解く。(リーグ第32節・ガンバ大阪戦:1-0)

等々力競技場でのガンバ大阪戦は1-0で勝利。

 スコアレスのまま終盤に入ると、試合の構図が「川崎フロンターレ対ガンバ大阪」というよりも、「川崎フロンターレ対東口順昭」になっていったゲームでしたね。そして「決めるべきところで決めておかないと・・・・」というフレーズが少しだけよぎりましたが、そういう展開でも最後に勝ち切れるのが今年のチームの強みであると証明できた試合になりました。

 試合後、中村憲剛が言います。

「最終的にはセットプレーでしたが、勝つチームはセットプレーでも点を取れないといけない。あの手この手を使ってこじ開けることができた。1点では物足りないかもしれないけど、勝ち点3を取ったのが大きいです」

 試合後に配られたJリーグ公式記録表で両チームのシュート数を見ると、さすがに驚きました。川崎フロンターレが25本に対して、ガンバ大阪が1本だったからです。両チームの戦力を考えると、これだけフロンターレが一方的に攻め続ける展開を予想していた人もいなかったでしょう。

 なぜ、これだけ圧倒できたのか。そして、なぜ水を漏らさずに無失点で勝ち切れたのか。今回のレビューでは、そういったことを中心に振り返ってみました。ラインナップはこちらです。

1.「自信をもってやっていくことですね。あれぐらいをスタンダードにやっていきたい」(谷口彰悟)。相手の狙いを外しながら、徹底した「つなぎ」で攻撃の起点を担い続け、鉄壁の対応を見せたザゲイロコンビの凄さとは?

2.「攻守の切り替えのところはオニさん(鬼木監督)が言っていたし、全員がそれをできていた」(大島僚太)。中盤で鬼神のごとく君臨し、「ボールを失わないサッカー」を体現し続けた大島僚太。そして、エドゥアルド・ネットが水を得た魚のように輝いた理由とは?

3.チーム最多となる6本のシュートを放つも、東口順昭のビッグセーブの連続により無得点だった家長昭博。彼が試合前日に語っていた、その「シュート観」とは?

4.「それを止めるか、みたいなのはありましたけど、それまでのチャンスを自分たちが作っていたので」(中村憲剛)。自分たちの攻撃を信じてやり続けていた選手達。そして攻撃で「変えないこと」を選択した指揮官の決断。我慢比べの末に生まれた決勝弾の背景にあった、ふたつの要因を読み解く。

5.「ボールが蹴られた瞬間、ファーポストに転がってくるのではないかというイメージが浮かんだので、思い切って前に行きました」(エウシーニョ)、「セットプレーは『俺が決める』と思って入って行きましたが、それ以外は『誰でもいいから決めてくれ』と思ってました。(決めたエウシーニョは)さすがっす(笑)」(谷口彰悟)。最後は等々力劇場。2017年シーズンはまだ終わらせない。

(※追記)6.「阿部ちゃんに当てるまではケンゴさんは見えていませんでしたが、当てている最中にケンゴさんが走っているなと思って」(大島僚太)。動き出している中村憲剛に届いた、前半14分の絶妙過ぎる浮き球パス。あの局面での狙いと判断を大島僚太に聞いてみた。

 以上、6つのポイントで全部で約11000文字です(11月20日夜に、後日取材で約2000文字のポイント6を追加しました)。

 等々力のピッチでボールを握り「ボールを失わないサッカー」を展開し、守備での球際でも圧倒する。そういう姿を取り戻した選手たちの姿を見て、「やはりチームは生き物なのだなぁ」とも感じたわけですが、ぜひ読んでみてください。

なお、プレビューはこちらです。➡️試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第32節・ガンバ大阪戦)

では、スタート!

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