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「I'm Proud」 (リーグ第23節・浦和レッズ戦:1-3)

 埼玉スタジアム2002で開催された浦和レッズ戦は1-3で敗戦。

負け試合の帰り道というのは、考えることが多くなるものです。それがアウェイゲームだと、移動時間が長い分、いろんなことを考えてしまいます。

 思えば、ここ最近はアウェイでとんと勝っていません。
この日だけではなく、7月2日のセレッソ大阪戦(ヨドコウ)は1-2、5月29日の京都サンガ戦(サンガスタジアム)は0-1と3連敗中です。その前の5月21日のサガン鳥栖戦(駅スタ)が0-0。直近で勝利したアウェイゲームは、5月18日のヴィッセル神戸戦(ノエスタ)の1-0までさかのぼらなくてはいけないわけです。

 今年はオンライン会見ではなくミックスゾーンでの対面取材が戻ってきたことで、時間とお金をかけてアウェイの現場にも足を運ぶことが日常になってきたわけですが、そこでの負け取材はなかなか堪えるものがあります。

 ただこの日の浦和レッズ戦の帰り道は、これまでともまるで違う複雑な思いになりました。

 この一戦が特殊なシチュエーションだったからです。
今週になって川崎フロンターレに新型コロナウイルスの陽性判定を受けた選手が急増しており、試合開催に関しては、当日になってもわからない状態でした。

 正式に発表されたのはキックオフ4時間ほど前。自宅を出て埼スタに向かう中、どんな顔ぶれで試合に臨むのかをあれこれと考えましたが、まるで予想できません。自分が川崎フロンターレのスタメンとベンチメンバーを知ったのは、ちょうど浦和美園駅に着いたタイミングでした。一番厳しいポイントはサイドバックの台所事情だろうなと思っていたのですが、そういう次元ではなかったですね。

 スタメンはやりくりできる陣容で組んでいたものの、ベンチメンバーを見て絶句。通常であれば7人いるはずのベンチメンバーが5人しかいません。しかもそのうち3人はゴールキーパー登録の丹野研太、安藤駿介、早坂勇希です。

 苦肉の策としてベンチにGKを複数人入れた公式戦は過去にもありました。丹野研太と安藤駿介の2人が入った去年のACLラウンド16・蔚山現代戦がそうです。しかし、あの試合はベンチ枠が10名。

 今回のようにベンチ7人枠のJリーグでGKが3人体制というのは前代未聞で、想像を超える異常事態でした。なお試合翌日にリリースされていましたが、試合当日のスクリーニング検査(抗原検査)で陽性判定者がいたことも明らかになっていますから、本当に現場は直前まで大変だったのではないかと察します。

 そしてこのメンバーで試合に臨まなくてはいけない時点で、試合展開として予想できることがありました。

それは鬼木達監督が、スタメンの11人を出来るだけ長い時間引っ張り続けなくてはいけないゲームプランを組まざるを得ないということです。

 交代出場できるフィールドプレイヤーは、実質的には山村和也と宮城天のみ。

キックオフ時の気温30.6℃、湿度73%という夏場の過酷な試合環境でも、スタメンのほとんどの選手は90分間、ピッチに立つ前提で覚悟して臨まなくてはいけません。

 ピッチに立てるのはお互いに11人同士と同じ条件です。

でも90分を通じて戦うためには、交代できる選手の枚数に差がある。最初から2人少ない状態で臨まなくてはいけない「総力戦」になっていたわけで、鬼木監督とっても我慢の采配を余儀なくされた一戦でした。

 この試合に関しては、あえてプレビューで書かなかったことがあります。

■試合前にはあえて書かなかった話

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