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「変わりゆくもの。変わらないもの」 (リーグ第2節・鹿島アントラーズ戦:2-0)

 まさに電光石火だった。

ストップウォッチを確認したら、まだ前半2分にも満たない、1分50秒過ぎのゴールである。失点に直結するミスをしてしまった鹿島のセンターバック・関川郁万は、その場で頭を抱えていた。

 一体、何が起きたのか。
順番はこうだ。樋口雄太からのバックパスを受けた関川に対して、川崎フロンターレのセンターフォワードである知念慶が距離を詰めていった。知念のプレッシングはさほど強いものではなかったと思えたが、パスコースを消すようなフェイントをかけていたことで関川のプレー選択に、一瞬の躊躇があったのかもしれない。

 伸ばした足でうまくパスを引っ掛けると、ボールは関川の後ろにこぼれる。そのまま走り込んだ知念が豪快に左足を一閃。GKクォン・スンテの横を抜き、ゴールネットに突き刺さっていた。

 知念慶はこれでリーグ戦2試合連続ゴールだ。
弾丸のようなシュートの弾道は、相変わらずである。

 開幕前のこと。桐蔭横浜大学から加入したゴールキーパーである早坂勇希にインタビューをする機会があった。シュート練習を通じた中で、彼はプロの技術に舌を巻いていた。「特に誰のシュートが巧いですか?」と尋ねると、この3人の名前を挙げている。

「みんな巧いですけど、特にユウさん(小林悠)、アキさん(家長昭博)、ヤストくん(脇坂泰斗)ですね。中でもヤストくんはキックモーションがほぼ変わらずに、クイックで逆を突いてきます。アキさん、ユウさんのシュートも届きそうで届かない、ギリギリのところに蹴ってきますね」

 ただ巧さとは別に、知念慶のシュートに関しては「知念君はパンチ力がえぐいです」と苦笑いしている。GKからすると、よほど強いシュートインパクトなのだろう。そんなチーム随一のパワーシューターの、らしい一撃で先制に成功した。

■(追記:2月28日)「あえてちょっとボランチの選手に出させるようなプレッシャーの掛け方をして、誘って奪った感じでした」(知念慶)。開始2分の先制点にあった駆け引きと、前線からの守備力が向上した背景。

(追記2:2月28日)「こないだでいうと、アキさん。ボールを失わずにためができると、後ろは押し上げる時間ができる。ああいう選手が、もっともっと数多く出て欲しい」(谷口彰悟)。苦しい時に、いかに「自分たちの時間」を作るのか。谷口彰悟が絶賛した家長昭博のプレーとは?

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