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「俺たちルーキーズ 」 (天皇杯2回戦・札幌大学戦:5-0)

 等々力陸上競技場での天皇杯2回戦は5-0で勝利。

 13分に小塚和季の先制ゴールを皮切りに、川崎フロンターレがゴールラッシュ。26分までに、あっという間に4ゴールを積み上げました。

 残り時間はまだ75分ほどあったものの、この時点で「勝敗あり」と言っても過言ではなかったと思います。それぐらい、両チームには実力差がありました。

では、いくつかのポイントからこのゲームを振り返っていきたいと思います。

 特筆すべきは、1点目の崩しでしょう。
知念慶の冷静な落とし、小塚和季のシュートの技術の高さが光る一撃でしたが、個人的に注目したいのは、その前の綺麗な右サイドの崩しです。ゴール前に抜け出してクロスを上げたのは、なんと右センターバックの山村和也でした。

 山村和也がああいうタイミングで前線にスプリントする(走らされるとも言う)パスを味方から出されるのはあまり見た記憶がありません。しかし試合後の山村は、「レンジから(走れという)パスのメッセージがあったので(笑)。うまくゴールにつながって良かったです」と微笑んでおりました。

 どういうことか。
札幌大学の左ウイングバックをうまく前に引き出して、3バックの横のスペースを攻略していく。試合後の右サイドバックの松井蓮之は、それが狙いだったと言います。

「相手が前から来るので、3バックの脇はずっと狙っていました。ヤマさん(山村和也)があそこから走ると相手は絶対についてこれないのはわかっていました。『ヤマさん、走って』とは言っていたので、そこがうまく得点につながったと思います」

 右サイドバックとして起点を担いながら5バックを攻略する絵を、松井蓮之は描けていたのだというわけです。この1点目には、いろんな意味が詰まっていたことが、分かるでしょうか。


■1週間前に解けなかった〔5-3-2〕システムをどう攻略する??

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