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「氷の上に立つように」 (リーグ第28節・湘南ベルマーレ戦:1-2)

レモンガススタジアム平塚での湘南ベルマーレ戦は1-2の敗戦。

一進一退の攻防が続いていた中、アディショナルタイムに阿部浩之からニアサイドを撃ち抜かれました。憎らしいほど冷静に決めるのは、さすがとしか言いようがありません。相変わらず、勝負の勘所を外さない選手です。

土壇場の失点により、暫定首位だった川崎フロンターレには黒星が刻まれることに。負けは負けで受け入れるしかありませんが、気になるのはその負け方です。

 今季シーズンは、すでに逆転負けを3度喫しています。
第9節の横浜F・マリノス戦(実質的にはリーグ2試合目)、第19節のセレッソ大阪戦、そして今節の湘南ベルマーレ戦。

鬼木フロンターレといえば、先制すれば負けない試合運びができるチームだったわけで、どれぐらい負けなかったかというと、2018年4月のセレッソ大阪戦以来、つまり、2019年、2020年、2021年と3シーズン半ほど先制すれば負けないチームでした。

 そんなチームが今年は3度も、逆転負けをしています。そのうち、セレッソ戦と湘南戦はアディショナルタイムでの失点。つまり、2回土壇場で勝ち点1が0になっているわけです。サッカーは終盤にスコアが動きやすいスポーツであるのは事実ですが、3連覇を狙うチームであれば、やってはいけない試合運びを繰り返しています。

 試合後のミックスゾーン。チームバスに乗り込む際に、何人かの選手が取材対応をしてくれました。

「本当に負けてはいけない試合でした。こういう負けがないように、しっかりとやっていかないといけない」(橘田健人)

最悪、引き分けで終わらせないといけなかった」(谷口彰悟)

厳しい表情なのは当然としても、内容の低調さもあり、少なからずショックも受けているようにも見えました。

では、なぜこういう現象が起きてしまったのか。今回のレビューではそこも含めて書いてみました。

■「フロンターレさんに、うちの陣地でサッカーをされてしまうと強みが出てしまうので、その強みを消すためにも、相手陣地でサッカーをしようというのは自分たちの特徴を出す上でも重要なポイントとしてみんなで共有できていました」(山口智監督)。攻撃の手詰まりは、なぜ起きたのか。二週間で入念に準備してきた湘南と、中二日で準備できなかった川崎。

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