商売とは何か。
このnoteは、2020年3月17日に配信されたいしかわごうのメールマガジン「Going!」の内容を公開したものです。
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オッス、いしかわごうだ!
木曜日の22時からテレビ東京で放送してる「カンブリア宮殿」が好きで毎週見てます。
ざっくりいうと、逆境を乗り越えて成長してきた有名企業の社長を招いて、成功の秘訣をいろいろと聞く番組ですね。
いま伸びているビジネスを知れますし、司会の村上龍さんと小池栄子さんがそれぞれの役割と視点でトークを弾ませていくので見ていて面白いですわ。
先日の放送は、緊急拡大放送として外食産業スペシャルだったんですけど、これが抜群でした。
メインとして登場したのは、外食産業のレジェンドと呼ばれているすかいらーくの創業者・横川竟さん。
現在は80歳を超えているそうですが、日々外食の視察を欠かさず、その分析と批評も実に的確。そらレジェンドだと驚きましたわ。
そんな横川さん気になる存在として、立ち食いステーキで大ヒットした「いきなり!ステーキ」の大失速を挙げています。
店舗数を増やし過ぎたこと、類似店が多くなったことで不振となり、成長から一転して閉店が相次いでいます。
「いきなり!ステーキ」は何が問題だったのか?
生き残るためにどうすれば良いのか。
番組では「いきなり!ステーキ」の一瀬社長をゲストに招いて、レジェンド・横川さんとの緊急トークという構図で番組が進みました。
このやり取りが抜群に面白かったんです。
まず「いきなり!ステーキ」の一瀬社長本人は失速の原因として「出店を急ぎ過ぎたこと」を挙げていました。
「4年間で187店舗を達成。5年目には1年間で200店舗を出すと宣言。それを何がなんでも達成しょうとした。しかし、お客さんがいないところにも出してしまった。それが大きな反省です」
この番組を見てると、一瀬さんにとって商売とは、「自分が美味しいと思うものをお客に食べて欲しい」というのがスタートにあるのがわかります。
それは正しいと思うのですが、世の中は、需要と供給で成り立っています。今、マスクやトイレットペーパーが手に入らないのは需要に対して供給が追いついていないからです。
その点で言うと、いきなり!ステーキはもっと多くのお客さんに食べて欲しいからと提供する規模を拡大しぎた結果、供給過多になってしまった。増え過ぎたことでお客さんにも飽きられてしまったのが一因であることは明確でしょう。そうした一般的な指摘は、一瀬社長も認めていました。
ただ、すかいらーくのレジェンド・横川さんがすごいのは、そんな次元で原因を指摘しないことです。
そもそも「商売とは何か」という前提に問題があったのではないかというんですね。
「地域のお客さんに満足してもらいながらお店を作るのか。それともトップが作りたいから作るのか。
つまり、企業側の論理で拡大するのか、お客さんの論理で拡大するのか、ですね。
一瀬さんは企業側のこうしたい、いくら売りたい、いくら利益をあげたい・・・したい思いが増えすぎると、どこかが欠落してしまう。
一瀬さんはいきなり!ステーキを日本一にしたいという思うがすごく強いのだと思う。強すぎるから店をたくさん作ってしまう。すると『人と良い立地』がなくなってしまうんです」
つまり、供給過多になってしまった現象面よりも、そこに自分たちの思惑が入り過ぎたことが問題ではないかと言っているんですね。
そして、横川さんにとっての商売とは、「自分が美味しいものが相手も美味しい・・・とは限らない」が前提なんです。だから、「相手の口に合わせた味と素材の組み合わせをする。お客さんが求めているものを売らない限り、売れない」というのがスタートになる。徹底的な顧客目線です。
一方、いきなり!ステーキの一瀬社長にとっての商売とは「自分が美味しいから出す。そしてお店を増やす」という自分目線が強いんですね。店舗の前に一瀬社長による手書きの張り紙で商品の思いや原価率の高さなどをお客さんにアピールするなんてこともありました。
賛否両論あった張り紙ですが、横川さんは、「僕は書きません。商売というのは、
これを商品で表現することだから」と豪快なほど一刀両断していました。
両者のスタンスがよくわかる構図でしたね。
自分目線か、顧客目線か。
ものを作るときというのは、強い想いや情熱があり、自分の売りたい商品を売ろうとする人が多いものです。
その気持ち自体は大事だと思いますが、それがお客さんが欲しいものでなければ、あまり意味はありません。プロとは、それを満たしてこそなのだと思います。
例えばサッカーで、自分のやりたいプレーばかりする選手がいたとします。そうしたプレーがゴールに繋がったり、チームの勝利につながるのであれば良いと思いますが、そこに繋がらなければ、ただの自己満足でしょう。
アマチュアならば許されるかもしれませんが、プロではおそらく生きていけないでしょう。
自分の職業でも考えてみました。
書く側が「自分が書きたいものを書くのか」「読者が読みたいものを提供するのか」の違いがあります。
自分が「作家」であれば、「自分が書きたいもの」に100パーセントの力を注ぐのですが、自分はライターですから、後者の割合を意識して書いてます。
ただ、だからと言って「読者が読みたいもの」ばかり書いていると、今度は自分が書きたいものはなんだったというところがぼやけてきます。そういう難しさもあったりします。
そこの塩梅をどのぐらいとるのかは長年抱え続けているテーマでもあります。
ちなみにこのメルマガを無料にしているのは「自分が書きたいものを書く」という作業をして、それが読者からどれぐらい反応が出るのかを確かめる実験でもあります。
長々と書いてしまいましたが。
結局、何が言いたかったかというと、この番組の小池栄子は最高だよね、ということです・笑。
ではでは。
あなたにとって今日が良い日でありますように!
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