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板倉滉のデビュー戦秘話と、イニエスタに挑んだ田中碧。それぞれの描いた成長曲線に思うこと。

 2021年の東京五輪。
サッカーに関しては、なでしこが薄氷の勝利でチリ代表を下してグループリーグ3位突破を果たした一方で、男子サッカーは連勝を飾り順調なスタートを切っている。メダルへの期待も日に日に高まっている。

 今回のU-24日本代表には、川崎フロンターレから三笘薫、旗手怜央、そして田中碧の3選手が選出されている。

 田中碧は大会直前にブンデスリーガ2部のフォルトゥナ・デュッセルドルフへの移籍が決まったため、川崎の選手としての出場ではないのだが、南アフリカ戦とメキシコで連続スタメン。

自慢のボール奪取やつなぎだけではなく、ロングフィードを織り交ぜたダイナミックな展開でチャンスの起点に。遠藤航とともに不動のボランチとして、中盤に君臨している。なお、SNSでは、スケートボード・ストリート男子で金メダルを獲得した堀米雄斗と顔が似ていると話題になっていた。

 川崎フロンターレ出身者で言えば、アカデミーからトップに昇格した後、海外に羽ばたいていった板倉滉、三好康児の2人も健在だ。

 特に板倉滉は、田中碧同様に連続スタメンを飾っている。当初は、冨安健洋が吉田麻也ともに堅陣を築くと見られていたが、大会直前に冨安が負傷。思わぬアクシデントもあって出番が巡ってきた格好だが、冨安不在を感じさせない、安定したパフォーマンスを見せている。頼もしい限りだ。

 すっかりたくましさを増した彼らのプレーぶりを見ながら、両者が試合に出始めた頃の記憶が蘇ってきた。

 例えば板倉滉が川崎フロンターレでプロ初先発を果たしたのは、2年目の2016年の5月のことだ。Jリーグヤマザキナビスコカップ(現在のルヴァンカップ)グループステージ第6節・ベガルタ仙台戦。今から約5年前のことである。

 その試合前日、本人は感慨深い様子で意気込みを話していた。

「等々力のピッチというのは、小さい頃からずっと見ていたし、そこに立っている選手が格好良いと思っていた。プロに入ってから、なかなか出番がなかったですけど、そこに立つためにずっと準備してきました。ここまで長いといえば長かったですね。試合には出れなかったが、自分に必要だと思ったことはずっとやってきました」

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