見出し画像

「もっと もっと…」 (リーグ第3節・ガンバ大阪戦:2-2)

 試合後の監督会見は、質疑応答の前に試合に関する総括コメントを促される。

 この日、リモート会見に現れた鬼木達監督の表情は厳しかった。静かに怒っているようにすら見えた。

「はい、5連戦の最後で非常にタフなゲームになりました。そこに対して、勝って終わりたかったという思いがありますので、そこをもっと自分がマネジメントをしっかりしなくてはいけなかったと思います。以上です」

 
勝っても負けても、そんなに長々と語るタイプではないのだが、普段の会見に比べても、少しだけ早口で、言葉数も少なかった。

 時間にすると、わずか20秒ほど。そんな事実がこの試合に対する指揮官の評価自体を物語っていたとも言えた。どちらかといえば、選手たちではなく、自分自身に矢印を向けた反省の言葉にも聞こえる口調でもあった。

 その後、質疑応答で土壇場で奪った勝ち点1の意味を問われると、「敗戦のゲームだと思っています。なので、そこは勝ち点1を拾わせてもらっただけです」と自身の認識を答えている。

 おそらく本音だろう。最後の最後で幸運を引き寄せたものの、諸手を挙げて喜べる引き分けではないのは、指揮官が一番痛感しているのだろう。

 
 ほぼラストプレーだった場面で生まれたゴールのインパクトがあれだけ強いと、それまでの時間帯のピッチ上で起きていた現象に関する印象は、どうしても弱くなってしまうものだ。ただ結果とは別に、内容は内容としてしっかりと整理し、吟味しなくてはいけない。

 前半のチームの噛み合わなさを後半に修正したものの、結局は、最後まで苦しい展開のままだった。難敵が続いた過酷なリーグ戦5連戦だったとはいえ、リーグ3連覇に向けた危機感はより強めなくてはいけない結果となった。

■(追記:3月8日)久しぶりの麻生練習取材で感じた、鬼木監督による基準。

ここから先は

12,081字 / 2画像

¥ 500

ご覧いただきありがとうございます。いただいたサポートは、継続的な取材活動や、自己投資の費用に使わせてもらいます。