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「武器と勇気と希望」 (リーグ第9節・東京ヴェルディ戦:0-0)

 Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuでの東京ヴェルディ戦は0-0。スコアレスドローでした。

連敗は2で止まりましたが、これで4試合連続無得点です。タイムアップの瞬間、等々力にはなんとも言えない空気が流れました。

ホームで勝てなかったこと、得点が奪えなかったことにキャプテンの脇坂泰斗は悔しさを噛み締めています。

「悔しいです。意図的にゴール前に持っていけたのはセレッソ戦よりはありましたし、そこの手応えはあるけれど、それだけでは勝てない。その回数を増やしていくことだと思います」

 彼が口にしたように、この試合での収穫があったとしたら、セレッソ戦に比べると決定機をいくつか作り出せていたことです。

 でもそれだけは足りない。局面を打開していくことは増えても、限られた選択肢の中での決定機だからです。もっと選択肢が多い決定機を作らないと、相手の守備は迷いません。脇坂泰斗が言います。

「試合毎にやれることは増えています。そこを受け取った自分がどう攻撃に繋げていくのか。まだパスコースが少ないですし、僕がターンしたり、マルシーニョが突破したり、選択肢が二つぐらいだと、その中からいいものを選ぶのは難しい。(選択肢を)3つ、4つ作って、相手を動かして(攻撃に)厚みを作れればと思います」

 では、質の高い決定機を増やしていくために必要なものは何なのか。試合を振り返っていきたいと思います。

 この日の川崎フロンターレは完全なる4-4-2のフォーメーションでスタートしています。

 4-4-2の場合、配置としてはシンプルな3ラインです。縦にも横にも味方がいるので守りやすいですが、4-3-3や4-2-3-1に比べると、攻撃の時に斜めのアングルに味方がいません。つまり、誰かがスムーズに動かないと斜めのパスコースが作りにくいのです。誰かが立ち位置をズラさないといけないわけで、守備から攻撃に切り替わった瞬間は、その移動のために時間がかかります。

 この状況で変化をつけようとしていたのが脇坂泰斗でした。

 この日はスタートが右サイドハーフ。中継点としてボールを受けたり、中盤で味方からのパスコースを引き出すには、守備から攻撃に移る際にどうしても時間がかかります。そこをうまく調整できなかったと彼は反省していました。

「立ち位置で変えられるところはあったのかなと思います。ただ、それを右ウイング(サイドハーフ)からやろうとするのは難しかった。1人ではどうしようもない。サイドバックやボランチが連動して、自分が空くとか・・・(があれば良かった)」

 前線4枚のうち、左サイドのマルシーニョは縦突破のドリブラーですし、エリソンと山田新の2トップは中央の最前線にいます。そのため、中盤で中継点となれる役割が脇坂泰斗ですが、中に入るのが彼だけでは厳しい。普段は家長昭博がポジションを崩してボールを受けることで、中盤で流れを作っていくのですが、この日はベンチスタートです。

 その結果、どうなったのか。ボランチやセンターバックからは前線を狙った縦パスが増えていました。

 これはこれで攻撃の狙いがあったことは選手の証言からも分かるのですが、どうしても攻撃自体が単発になってしまったりと、ボールを保持してのリズムが生まれませんでした。結局、前半途中からは山田新を右サイドに、脇坂泰斗をトップ下に転換した4-2-3-1に変えています。

 ここからは本文で詳しく掘り下げていきます。ラインナップはこちらです。

※4月22日に鬼木監督に関する追記をしています。試合後の会見の質疑応答である話題が出て、そのやりとりがちょっと印象的でした。公式サイトではカットされていたので、書き残しておきます。

■「自分のそういうものは一切ないので、そこは全くないと思います」(鬼木達監督)。珍しく全否定した指揮官。監督会見で起きた、印象的なやりとり。

※4月23日にさらに追記しました。J1では16年ぶりの対戦だったこのカード。東京ヴェルディの取材から始まったサッカーライターとしての僕の話を紹介します。超個人的な内容です。

■(※追記その2)東京ヴェルディについて語るときに僕が語る、サッカーライターを続けていくということ。


では、スタート!

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