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試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第5節・松本山雅戦)

3月31日はサンプロ アルウィンで松本山雅FC戦です。

 アルウィンでのゲームとなると、4年前の2015年以来となりますね。
このときは3-1で川崎フロンターレが勝利しています。ただスコアほど簡単な試合ではなかったんですよね。前半に3ゴールを挙げて試合の大勢を決めたものの、後半になると楽勝ムードが一変。相手の猛反撃を受けて1失点し、防戦一方になった展開をしのいだ勝利でもありました。

 今でも覚えているのは、試合後の中村憲剛の談話です。

彼は「勝ったから話せるのだけど」と前置きしつつも、当時のアルウィンの雰囲気をこう述べたんですね。

「このスタジアムの空気は素晴らしかった。ここで松本の選手が頑張れる理由は、そういう雰囲気が大きいのかなとも感じたよ。何でもないロングスローがチャンスになるような雰囲気をスタンドが出すというのは、相手からしたら嫌だった」

 国際試合を含めて様々なアウェイを経験している中村憲剛がスタジアムを包む雰囲気のやりにくさを言及するのは珍しかったので、よく覚えています。

 サッカーでは、相手チームに対するブーイングなどで威嚇するのもサポーターが出来る応援の一つだと思います。ただ自分のチームに対してより応援のエネルギーを注ぎ、その雰囲気で対戦相手がやりにくさを感じてしまうというのも、応援の力ですよね。等々力もこっち寄りですが、なんだか北風と太陽みたいで面白いなぁ、と思いますね。

 今週の練習後、中村憲剛とそんな4年前の思い出話を引き合いに出しつつ、「アウェイの雰囲気に飲まれないようにするには、やはり平常心ですかね?」と、経験談を軽く尋ねてみました。アルウィンで試合するのは久しぶりですし、チームには若い選手もいますからね。すると、彼は「意識しないようにするのもよくない」という旨の話をしてくれました。

「どうしても左右されるところもあるので。(雰囲気を)意識しないと思っている時点で意識しているからね(笑)。何も考えずにやればいいんじゃないかな」

 要は「緊張するな!」と自分に言い聞かせている時点で既に緊張しているというのと似た話ですが、なんとも仙人らしい回答でした・笑。

アルウィンを包む雰囲気もそうですが、当日はアルウィンの芝を長くしてボールが走らないピッチを準備していることが予想されます。それを見越して、フロンターレも麻生グラウンドではグラウンドに水をまかずに練習をしましたが、そういった小さくないストレスを抱えながら、どうやってサッカーを表現しながら勝ち点3を掴むのか。当日はそこも見所になりますね。

では、試合のディープな見どころを語っていきたいと思います。ラインナップはこちらです。

1.「相手がどういう対策をしても上回れるようにやること。相手が守ってきたときにどう崩すか。そこで目を揃えられるようにしたい」(中村憲剛)。二週間のインターバルを経て臨む松本山雅戦。目の揃ったメンバーで臨む理由を読み解く。

2.「自分たちの魅力は何か。何で支持されているのか。得点を取りたいという気持ちを、相手は利用してサッカーをしてくる。でも、あえてそこの上に行かないといけない」(鬼木達監督)。去年よりも、さらに前に進むために。指揮官が行なった進化のための再確認とは?

3.松本山雅のブロック崩しに必要な「縦」の揺さぶり。効果的な最前線の選択は、レアンドロ・ダミアンか、小林悠か。それとも知念慶か。

4.「真ん中を釣り出すのもそうだけど、両センターバックを引き出すのが大事かな。いかにギャップを作るのか」(登里享平)。「フロンターレは結果を残し続けないと試合に出れない場所だと思っています」(鈴木雄斗)。相手の出方で攻め筋を対応できる左サイドユニットの不思議なメカニズム。そしてゴールのカギを握る「横の揺さぶり」。

5.「それが一体感にもつながってくる。自分勝手に好きなことばっかりやっているチームは勝てないと思います」(阿部浩之)。自分の持ち味を出すことと周囲を気遣うバランスでチームは循環する。「潤滑油」になれる阿部浩之が語った、フロンターレが機能するために必要な塩梅とは?

以上、5つのポイントで冒頭部分も含めて全部で約10000文字です。戦術的な話というよりはコラム的な内容が多いのですが、書いているうちに面白くなってしまってちょっと書きすぎました・笑。その分、読み応えはたっぷりだと思います。ぜひ読んで、明日の試合までに見どころのイメージを膨らませてみてください。

なお、前節のレビューはこちらです。→すべてを偶然じゃなくて、 必然だと感じるようにやらなくてはゴールは生まれない。前を向きながら、見つめ直すべきもの。(リーグ第4節・ガンバ大阪戦:0-1)

では、スタート!

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