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「それがすべてさ」 (リーグ第32節・サガン鳥栖戦:1-1)

駅前不動産スタジアムでのサガン鳥栖戦は1-1。

もし鳥栖に勝てば、J1全チームに勝利しての優勝ということになったわけですけど、それは達成ならず。

ただJ1全チームに勝利という記録は、2016年の川崎フロンターレですでにやっていますからね。ちなみにこの時は優勝できませんでした(年間勝ち点2位、チャンピオンシップ準決勝で負けたため、年間順位は3位)。なので、個人的にはそこの記録は別に良いかなという思いでした。

なので鳥栖に・・というよりも、目の前の試合に勝ち切れなかったという思いが強いのかもしれません。難しい展開で会心の先制点を奪っていただけに、その後のチャンスを仕留めて2点目、3点目を取っていれば・・・という試合でもあります。

圧倒的な勝ち点で優勝はしたものの、リーグ2巡目に入った時からはやや苦戦が続いている部分はあります。10月ぐらいの時期だったと思いますが、山根視来がこんなことを話していました。

「等々力でやっていると、残り15分に1-0で勝っていても、相手のメンタル的に『川崎で0−1は悪くない』。そういう空気は感じますね。最低でも2点、3点が必要。1-0で長い時間続くと、もし僕が対戦相手だったら、悪くないんじゃないかと思う。相手の勇気を早めにへし折るようなことは今後必要になると思ってます」

 この試合はアウェイでしたが、追加点が取れないまま終盤に進んだことで、王者相手になら「悪くないんじゃないか」という展開に持ち込まれたような印象を受けます。実際、試合後の金明輝監督は、スタジアムの雰囲気が後押ししたと言います。

「当然、(川崎フロンターレと)差はありますし、それはやる前からわかっていました。ただ試合なのでどんな形でも一点とって、もう一点とって、勝つところに持って行く。勝てはしなかったが、このスタジアムの雰囲気も後押ししてもらって、なんとか引き分けに持ち込めたと思います」

優勝後、清水も鳥栖も「王者相手に」というモチベーションで最後まで頑張ってきますし、リーグ残り2試合もそういう相手を上回っていく戦いを意識していく必要があります。そしてこの鳥栖戦は、ピッチでの両チームの駆け引きも、そして試合後の光景も興味深いものがありました。

レビューではそこをたっぷりと振り返っております。ラインナップはこちらです。

■「マンツーマンというか、前からはめる形の前提のところでずらされる。そこでスイッチを入れにくかったところはありました」(金監督)。川崎対策を用意してきた鳥栖の守り方。プレッシングとビルドアップを巡る前半の駆け引きとは?

■浮いた原川力を捕まえながら、森下龍矢の背後を狙う。効果的だった後半の狙い。そしてキャプテン・ショウゴが叩き込んだ魂のヘディング。

■数年前の局面と重なったシーズン終盤の光景。大事なのは、記録よりも目の前の試合に勝利すること。そこを間違えてはいけない。

■「そこらへんは納得していない。それはあり得ないことだと思っている」。試合から二日経ってもなお、谷口彰悟が抱えている悔しさにあるもの。

■「対戦相手としての自分が、Jリーガーとして辿ってきた道を肯定されてきたように感じられた。選手冥利に尽きます」(中村憲剛)。試合後に沸き起こる相手サポーターからのスタンディングオベーションについて、ケンゴが語ったこと。

■(追記:12月15日)「今は毎日楽しくやっている。それがありがたいよね」。バンディエラの中で変わらない、「変わらないことを恐れない」ということ。(中村憲剛の回想コラム:2018年)

以上、6つのポイントで全部で約15000文字です。14日の後日取材も盛り込んだレビューあり、15日に回想コラムの追記ありの内容となっております。よろしくどうぞ。

なお、プレビューはこちらです。→試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第32節・サガン鳥栖戦)

では、スタート!

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