運命を生きる。(1/3)
ニジンスキーといえば、言わずとしれた名種牡馬……ではなく(そうでもあるのだが)、天才の名を恣にしたバレエダンサーである。踊るだけでなく革新的な振り付けの才能でも世界的な名声を博した。
彼はバレエ・リュスの団長ディアギレフと恋愛関係にあったが、突然、団所属の女性ダンサー、ロモーラと結婚してしまう。これが原因でディアギレフと決裂し、その後、第一次世界大戦、自身の病と悲運が重なり、彼の人生は苦悩の中で幕を閉じる。
彼に最後まで寄り添ったニジンスキー夫人ロモーラは、懇意にしていた心理学者・河合隼雄にある質問をした。