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「親権」制度と「普通養子縁組」制度があるのは世界で日本だけ。両方の廃止を!

海外は実父母に子どもを育てる権利と義務があります。子どもの権利条約も同じです。監護権というのは、その権利義務のうちで日常の子どもの育児です。監護権の他に、子どもの引っ越しや進学先など重要事項を決定する権利もありますが、いずれも「実父母の子どもを育てる権利義務」に含まれます。

一方、日本ではそうなっていません。実父母が親権を持って、海外と同じように子どもを育てることが多いですが、離婚も増えたので「単独親権」となってしまい1人で、あるいは再婚相手と子どもを育てることが増えてきました。日本において、親権は失ったり、再婚相手に移動してしまうこともあります。子どものいる世帯の約2割は実父母世帯ではありません。

このように、「親権」なる法律用語があり、それが実父母から移動してしまう国は世界でも日本にしかないのです。そして、他人に移動する場合の多くは、「普通養子縁組」制度を使っています。実父母の同意がなかったり、裁判所に許可もなかったりと、簡易な方法で養子縁組ができてしまいます。このような国も世界で日本にしかありません。普通養子縁組とは日本にしかない制度なのです。そして、普通養子縁組の目的は、家を継ぐための相続です。本来は、子どものためではありません。

一方、実父母との縁が切れる特別養子縁組は海外にもあります。この養子縁組は、子どもの養育のために、実父母の同意と裁判所の許可に基づいてなされます。これは海外でもあるのが一般的です。

さて、「親権」とはなんでしょうか?

実は、民法にその定義はない謎の言葉です。しかし、民法818条では「子は、父母の親権に服する」という規定になっています。

普通養子縁組によって親権は移動することも含めて考えると、導かれる答えは「親による子どもの所有権」ではないでしょうか?

武井壮さんが「親権って何だよ?」と憤っていますが、「親による子どもの所有権」なんですね。こんなものは廃止にして、子どもの権利条約の通りに海外と同じく、「実父母が子どもの養育の責任を持つ」でいいのではないでしょうか? 結婚・離婚の有無に関係なく

なお、法制審議会の家族法制部会30回会議でも、家族社会学者の落合恵美子委員が同様の意見を述べています。

落合委員は、なぜ日本だけ親権というものがあって、複雑な三層制になっているのか?海外と同じく二層制でいいのではないか?というようなことを言っていますが、この論調は私と同じく、つまり親権不要論です。

親権という概念は、普通養子縁組とセットですから、こちらの養子制度も合わせて廃止しましょう。子どもの養育のためには、実父母の同意と裁判所の許可が必要な特別養子縁組だけで良いのです。これも子どもの権利条約21条の規定通りです。つまり、子どもの権利条約通りに民法の家族法を改めればいいだけの簡単な話です。この簡単な話をなんとか、5年後の民法再改正につなげたいものです。

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