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ストラングラーズの新作『Dark Matters』について思うこと

 ストラングラーズの新作『Dark Matters』の評判がすこぶるいい。UKチャートで見てもいきなり4位という位置につけたりしていて、新作のリリース直後のセールスという部分ではバンド史上最高を記録しているとか。ヨーロッパ各国でもかなりの注目を集めているようだ。
 ただ、その注目の陰にはデイヴ・グリーンフィールドの遺作という要因があるのはたしかなところで、そうしたことを考えると複雑な心境になる。1983年発表のアルバム『Feline』を最後に、ストラングラーズはチャートバスターなバンドではなくなり、さらにヒュー・コーンウェル脱退後ともなるとセールスはジリ貧状態に。セールス面での落ち込みは前作『Giants』まで続いた。彼らは1970年代からの熱心で忠実なファンに支えられているが、ヒットチャートに顔を出すことは久しくなくなった。今回、新作をチャートにのし上げた大きな要因は、ヒューが辞めていったん離れた"かつてのファン"が、デイヴの遺作ということで関心をしめしたということなのだろう。

「デイヴの死がストラングラーズの新作に触れるきっかけとなった」→「追悼の意味もあってオールドファンが久しぶりにアルバムを買ってみた」→「聴いてみたら想像以上にいい作品で驚いた」→「SNS上で絶賛した」
そんな流れが少なからずあったのかもしれないが、とするなら、それはそれでまた複雑な心境に拍車をかける。
つまり、この新作のチャートアクションや評価の高さは、はからずもデイヴの死が大きな広告となって、オールドファンを振り向かせた結果と考えられるからだ
 デイヴがまだ健在であったとしたら、この新作に対して、はたしてこれほどの注目が集まっただろうか? 

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