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立ち呑み モルガン

浪漫はどこだ?
where is your roman?

ダイソーの店員「そこに出てなければ無いです」
立呑みモルガン「ありまぁーっす」

割と几帳面なところがあるので、いつ何処で何を呑んだか、という事を記録するアプリを使っているのだけれど、それによると浦和のナカギンザセブンという飲み屋街にあるこの立ち呑み屋には、なんと実に352回行った、ということになるらしい。

浦和にいた期間はおよそ4年弱だから、この352回という回数は、控えめに言ってもなかなかのものだと思う。いかに何度も何度も、それこそ足繁く通ったのか、というのがよくわかるというものだ。

その立呑み モルガンがあるナカギンザセブンが、いよいよ今年、地元住民はもちろん、各店の常連客やファン、そして愛好家の切なる願いをよそに、老朽化による再開発で取り壊されるということが決定してしまった。
情緒ある狭い通りにずらりと並ぶ老舗の名店とともに立ち退き、閉店を余儀なくされたという悲しい知らせを聞いた。
跡にはマンションが建つらしい。

浦和は最近住みたい町のランキング上位に入ったりして、どんどん地価や家賃が高くなり、よそからの参入者(わたしもそのひとりではあるのだが)が増えて古き良き歴史ある建物や町並みやお店が次々に再開発という名のもとに取り壊され、その跡地が小綺麗に洗練されたマンションやおしゃれなカフェになってしまうと、それこそ首都圏のどこにでもある風景と何ら変わりがなくなるような気がするのだが。

流れ者であり、所詮は余所者の戯言ではあるのは重々承知の上で言うが、これは非常に嘆かわしいことだと思う。

浦和を離れたあとも、いつも心の奥で、きっと「おかえり」と迎えてくれる場所として大切にしていたモルガン。そしてナカギンザセブン。
あの愛すべき通りが無くなってしまったら、わたしはいったい何処に帰ればいいのだろう。

352回、ひとつひとつの大切な思い出とともに、あのボロくて小汚くて親切で人懐っこくて優しいおせっかいで常にわたしの心の安定剤となっていた素晴らしい最高の立ち呑み屋、モルガンに最後の献杯を。


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